北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) かきつばた
かきつばた
柳河の
古きながれのかきつばた、
晝は * ONGO の手にかをり、
夜は萎(しを)れて
三味線の
細い吐息(といき)に泣きあかす。
(鳰(ゲエツグリ)のあたまに火が點(つ)いた、
潜(す)んだと思ふたらちよいと消えた。)
* 良家の娘、柳河語。
[やぶちゃん注:「かきつばた」キジカクシ目アヤメ科アヤメ属カキツバタ Iris laevigata。漢字表記は「杜若」「燕子花」。アヤメ・ショウブ・カキツバタの識別法は「たはむれ」の私の注を参照されたい。
「鳰(ゲエツグリ)」カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属カイツブリ Tachybaptus ruficollis。]
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