北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 晝のゆめ
晝のゆめ
酒倉の强き臭(にほひ)を嗅ぐときは
夏のさみしく、
油屋の黃なる搾木(しめぎ)をきくときは
秋のかなしく、
少年の感じ易さは、怪しさは、
あはれ、ひねもす、
金文字の古き蘭書に耳をあて
黑猫の晝の瞳に見るごとく、
冬もゆめみぬ、ゆゑわかぬ春のシムフオニイ。
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