北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 六十一 / 斷章~了
六 十 一
新詩社にありしそのかみ、
などてさは悲しかりし。
銀笛を吹くにも、
ひとり路をゆくにも、
歌つくるにも、
などてさは悲しかりし。
をさなかりしその日。
[やぶちゃん注:「新詩社」明治三二(一八九九)年、与謝野鉄幹が設立した詩歌結社。翌年に機関誌『明星』を創刊、浪漫主義運動の一大勢力となり、多くの新人を育成した。明治四十一年に解体した(第一次『明星』)。正式には「東京新詩社」であった。白秋は明治三九(一九〇六)年に鉄幹に招かれて新詩社に入り、『明星』同人となったが、翌年末頃には新たな新詩想を求める機運に至っていた吉井勇や木下杢太郎ら七人とともに新詩社を脱退している。鉄幹と感情的に相容れなかったことも理由とされる。
本篇を以って「斷章」は終わっている。]
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