北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 十六
十 六
哀(あはれ)知る女子のために、
われらいま黃金(こがね)なす向日葵(ひぐるま)のもとにうたふ。
哀(あはれ)知る女子のために。
[やぶちゃん注:「女子」先行する「八」の注を参照されたいが、ここでは、やや躊躇して音数律からは「をんなご」より「をなご」と読みたくはなるのであるが、後の昭和三(一九二八)年アルス刊の北原白秋自身の編著になる自身の詩集集成の一つである「白秋詩集Ⅱ」の本篇(国立国会図書館デジタルコレクションの当該ページ画像)を見ると、「哀(あはれ)知る女子(をみなご)のために、」としっかりルビが追加して振ってあり、やはり「をみなご」なのであった。
「向日葵(ひぐるま)」底本では御覧の通り、「向日」の部分だけに「ひぐるま」とルビしてある。しかし「葵」を「あふひ」と読んだりしては音数律が如何にもだらしなくなるし、本詩集のルビの組み方が均等割付になっていないのは今までも何度も見てきた。しかしと言って無批判にそうする訳には行かぬので、されば、諸本を見たところ、やはり「向日葵」三文字に「ひぐるま」を当てている。ダメ押しで上記前注のアルス刊の当該部も確認したところが、やはりそうなっているので、快くそのように読みを振った。]
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