北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 旅役者
旅役者
けふがわかれか、のうえ、
春もをはりか、のうえ、
旅の、さいさい、窓から
芝居小屋を見れば、
よその畑(はたけ)に、のうえ、
麥の畑(はたけ)に、のうえ、
ひとり、さいさい、からしの
花がちる、しよんがいな。
[やぶちゃん注:これは静岡県三島市などで歌われ、全国的にもよく知られる民謡農兵節(のうへいぶし)をインスパイアしたもの。ウィキの「農兵節」を見ると判る通り、曲中には「のーえ」「さいさい」という掛け声が入る。或いは実際の旅役者がそれらの掛け声を入れて即興で唄っていたを聴いた記憶に基づくものかも知れない。
「しよんがいな」(歴史的仮名遣「しょんがいな」)は感動詞。民謡で一節の終わりに附ける囃子言葉。「しょんがえ」「しょんがい」。]
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