北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 八
八
女子よ、
汝(な)はかなし、
のたまはぬ汝(な)はかなし、
ただひとつ、
一言(ひとこと)のわれをおもふと。
[やぶちゃん注:「女子」先行する処女詩集「邪宗門」では一貫して「女子」を「をみなご」と読んでいる。この後もこの「斷章 十六」にルビ無しで出る(そこで私の以下の見解が正しいことを立証した)。私は先例に徴して「をみなご」と読む。但し、本詩集ではずっと後の「酒の黴」に「知らぬ女子(をなご)のこころに、」とルビを附して一箇所出る。しかしそれでも寧ろ、有意に離れて一箇所いる以上、「をなご」で一律読む気は私はさらさらない。寧ろ、ここは短律句で「をみなご」の方が実音律としてもよい。]
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