北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 十二
十 二
女、汝(な)はなにか欲(ほ)りする。
ゆふぐれの、ゆふぐれのゆめふかきもののにほひに、
かくもまた汝(な)とともに接吻(くちつ)けて、接吻(くちつ)けて、接吻(くちつ)けてほのかにも泣きつつあらば、
あはれ、またなにの願か身にあらむ、ああさるをなほ
女、汝(な)はなにか欲(ほ)りする、
ゆふぐれの、ゆふぐれのふたつなき夢のさかひに。
« 北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 十一 | トップページ | 北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 十三 »