萩原朔太郎 氷島 初版本原拠版 附・初出形 虛無の鴉
虛無の鴉
我れはもと虛無の鴉
かの高き冬至の屋根に口を開けて
風見の如くに咆號せむ。
季節に認識ありやなしや
我れの持たざるものは一切なり。
[やぶちゃん注:この冒頭のそれは萩原朔太郎が偏愛した一節で、色紙にもよく書いたようである。私も複製ながら、津久井幸子氏蔵のそれを持っている。
初出は昭和二(一九二七)年三月号『文藝春秋』。
*
否定せよツ!!!
ああ汝はもと「虛無」の鴉
かの高き冬至の家根に口を開けて
風見(かざみ)の如くに咆號せよ。
季節に認識ありやなしや
我の持たざるものは一切なり。
*
で、その後、本詩集に先行する昭和四(一九二九)年十月発行の「新潮社版現代詩人全集第九卷 高村光太郞集・室生犀星集・萩原朔太郞集」に載せた際に、改題して、
*
虛無の鴉
我れはもと虛無の鴉
かの高き冬至の家根に口をあけて
風見の如くに咆號(はうがう)せん。
季節に認識ありやなしや
我れの持たざるものは一切なり。
*
とし、さらに本詩集で決定稿となった。]
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