北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 斷章 三十六
三 十 六
鄙(ひな)びたる鋭き呼子そをきけば淚ながるる。
いそがしき活動寫眞(くわうどうしやしん)煤びたる布に映すと、
かりそめの場末の小屋に瓦斯の火の消え落つるとき、
鄙びたる鋭き呼子そをきけば淚ながるる。
[やぶちゃん注:「呼子」私は取り締まりの警察官の吹く警笛のそれと感じたが、違うか。或いは、終演したレビューの酔った道化が吹くそれか。]
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