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2020/06/20

北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 二人

 

二人

 

夏の日の午後(ひるすぎ)………

瓦には紫の

薊ひとりかゞやき、

そことなしに雲が浮ぶ。

 

酒倉の壁は

二階の女部屋にてりかへし、

痛(いた)いやうに針が動く、

印度更紗のざくろの實。

 

暑い日だつた。

默(だま)つて縫ふ女の髮が、

その汗が、溜息(ためいき)が、

奇異(ふしぎ)な切なさが………

 

惱ましいひるすぎ、

人形の首はころがり、

黑い蝶(ヂュウツケ)の斷(ちぎ)れた翅(つばさ)、

その粉(こな)の光る美くしさ、怪しさ。

 

たつた二人、…………

何か知らぬこころに

九歲(ここのつ)の兒が顫へて

そつと閉(し)めた部屋の戶。

 

[やぶちゃん注:「蝶(ヂュウツケ)」の濁音「ヂ」+拗音「ュ」の表記はママである。前の「にくしみ」では一貫してルビは「チユウツケ」であった。を私はこれを生前のアンドレイ・タルコフスキイ(Андрей Арсеньевич Тарковский/ラテン文字転写:Andrei Arsenyevich Tarkovsky 一九三二年~一九八六年)に撮って貰いたかった。それは確かに日本版「鏡」(Зеркало:音写「ジェルカラ」。一九七五年ソヴィエト公開。一九八〇年日本公開)のワン・シーンとなるであろう。

「印度更紗のざくろの實」色の換喩による修飾。「印度更紗」はその生地の一番知られた基調色は柘榴(フトモモ目ミソハギ科ザクロ属ザクロ Punica granatum)の熟した実の外殻皮と同じ強い臙脂色である。]

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