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2020/06/13

北原白秋 抒情小曲集 おもひで (初版原拠版) 霜

 

 

柔かなる月の出に

生(なま)じろき百合の根は匂ひいで、

鴉の鳴かで步みゆく畑、

その畑に霜はふる、銀の薄き疼痛(とうつう)…………

 

過ぎし日は苦(にが)き芽を蒔きちらし、

沈默(ちんもく)はうしろより啄みゆく、

虎列拉(コレラ)病める農人(のうにん)の厨に

黃なる灯(ひ)の聲もなくちらつけるほど。

 

霜はふる、土龍(もぐら)の死にし小徑(こみち)に、

かつ黑き鳥類(てうるゐ)の足あとに、故鄕(ふるさと)のにほひに、

霜はふる、しみじみと鍼(はり)をもてかいさぐりゆく

盲鍼醫(めくらい)の觸覺のごと。

 

思ひ出の月夜なり、銀(しろがね)の痛き鍍金(メツキ)に、

薄靑き光線の暈(かさ)かけて慄(わななく)く夜なり。

放埒(ほうらつ)のわが悔に、初戀の淸き傷手(いたで)に、

秘密おほき少年のフアンタジヤに。

 

霜はふる。

ややにふる、

來るべき冬の日の幻滅(デスイリユジヨン)…………

 

[やぶちゃん注:「過ぎし日は苦(にが)き芽を蒔きちらし、」/「沈默(ちんもく)はうしろより啄みゆく、」は長く記憶されるべき、痛烈な詩句である。少なくとも、私にとっては。

「幻滅(デスイリユジヨン)」あたかも「death illusion」に見えるが(それがまた「幻滅」にしっくりきてしまうのだが)、“disillusion”(ディスィリュージョン)のつもりであろう。]

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