三日前の夢
起きた途端に『記さねば!』と思ったが、躊躇した。あまりに私的な過去の事実が出来(しゅったい)したからである。その辺りを誤魔化して、以下に記す。
*
私は COVID-19(Novel Coronavirus disease 2019)に罹患している。体育館のような臨時施設の病床に横たわっている。症状は、ない。恐らくははもう既に恢復期にあるようだ(場所と自分の見当識から)。
私が入院していると聴いたらしい教え子たちが、沢山、見舞いに来ているのだが、彼らは外に並んで入れないようだ。特別な許可を得たその中の幾たりかが、私に誰も「赤い薔薇」を持って見舞いに来た。
直後に、私は医師から、「退院出来るが、以下の質問の正解すれば、という条件附きだ」と告げられる。
私はその質問を受けることにする。
それは「あなたは○○の時、実は○○の○○を愛していた」(実際にはここの前には具体的な名称が一部に入っている)に正確な語を入れること、或いは「李徴の出生地は?」といった個別疑問文であった。
どれも必ず正直に答えることが可能なものばかりだった(李徴の出生地は「虢略」と答えてはだめなのだ。「隴西」ならいい。彼の「故山虢略」と言っているのは長く住んだ場所の意であって、生地ではないのである)。
数百の尋問を総て正解した。そこで私は誰にも打ち明けたことのない秘密も総て明かしたのであった。
解放された。
しかし、出たそこは
――永遠の闇夜であった
――どこにも何も――誰も――いない――ただの闇――なのであった…………
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