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2020/09/13

大和本草卷之十三 魚之下 ビリリ (神聖苦味薬) / 「大和本草」の水族の部~本巻分終了

 

【蠻種】[やぶちゃん注:初めて目にする頭書である。]

ビリヽ 紅夷國ヨリ來魚ノ膽ナリ不詳其魚之形狀主

治赤白痢疾腹痛心痛又解諸獨毒魚菌毒水ニテ

送下ス瘧發日朝水ニテ用ユ虫クヒ齒ニハ其穴ヲ可塞○

諸虫獸傷水ニテ付○頭面瘡に付○諸腫痔瘡水ニ

和シ付ル○打撲杖瘡ニ貼ル○天虵毒ニ水ニテ付○鷹ノ

羽虫ニ水ニテ付ル驚風產後積塊氣付ニ用右症何レモ

一時二三分充水ニスリ立可用服後半日生菜ヲ

食ヘカラス右ノ功能未知可否姑記所聞見尓

○やぶちゃんの書き下し文

【蠻種】

ビリヽ 紅夷國〔(こういこく)〕より來〔(きた)る〕魚の膽〔(きも)〕なり。其の魚の形狀、詳らかならず。主治、赤白〔(せきびやく)の〕痢疾・腹痛・心痛。又、諸毒、毒魚と菌毒を解す。水にて送〔り〕下す。瘧〔(おこり)は〕、發〔(はつ)せる〕日の朝、水にて用ゆ。「虫くひ齒」には、其の穴を塞ぐべし。

○諸虫獸〔による〕傷、水にて付く。

○頭面瘡〔(とうめんさう)〕に付く。

○諸〔(もろもろの)〕腫〔(はれもの)〕・痔瘡〔(じさう)〕、水に和し、付くる。

○打撲・杖瘡〔(ぢやうさう)〕に貼る。

○天虵毒に水にて付く。

○鷹の羽虫に水にて付くる。驚風・產後・積塊〔(しやくくわい)〕・氣付に用ふ。右症、何れも、一時、二、三分〔(ぶ)〕充〔(あて)〕、水に、すり立〔て〕、用ふべし。服して後、半日、生菜〔(なまな)〕を食ふべからず。右の功能、未だ可否を知らず、姑〔(しばら)〕く聞見〔(ぶんけん)〕するの所を記すのみ。

[やぶちゃん注:最後「尓」の右下に「ニ」が奥ってあるが、衍字であろう。

 さても。最後の最後に困らされる。全く何だか分からない。一つだけ、赤松金芳氏の論文「中井厚沢とその著書「粥離力考」(『日本醫史學雜誌』第十巻第二・三号。昭和三九(一九六四)年発行。PDF)で、是非、読まれたいが、そこではその正式名をヘイラ・ピクラ(Hiera Picra)とし、所謂、万能薬「神聖苦味薬」の一種であるようだ(魚の肝(きも)由来というのはガセネタのようである)。而して、これは所謂、錬金術の中で創造された下らぬものであるような気がした。

「紅夷國」「紅い毛の夷人」で、江戸時代に欧米人を卑しんで言った語。

「赤白〔の〕痢疾」赤痢(下痢・発熱・血便・腹痛などを伴う大腸感染症)と、出血を伴わない下痢の内、特に小児に多いコレラに似た感染症を指す。

「瘧」マラリア。

「虫くひ齒」虫歯。

「頭面瘡」広く頭部から顔面に発症する蕁麻疹様の皮膚疾患を指す。

「杖瘡」杖を必要とする打撲或いは関節炎やリュウマチを指すか。

「天虵毒」全身性に多発増殖する悪性の腫瘍疾患を指すようである。

「鷹の羽虫」鳥に有意に寄生するダニ類を指すのであろう。

「驚風」漢方で、小児のひきつけを起こす病気の旧称。癲癇の一型や髄膜炎の類いとされる。

「積塊」現代仮名遣「しゃくかい」。昔、体内の毒素が長い間に積もって出来ると考えられていた硬質の腫瘍。癌以外の良性のシコリも含まれる。

「二、三分」一分は三十七・五ミリグラム。

 【2021年3月6日標題と以下を改稿】これを以って二〇一四年一月二日に始めた「大和本草」の水族の部の本巻分の電子化注を終わる。この時、実は私は忘れていた。何を? 「大和本草」には別に――「大和本草附録」二巻と「大和本草諸品図」三冊(上・中・下)があることを――である。付図の方は理解していたのだが、正直、恐らくは画才の足りない弟子の描いたものが多く、「大和本草卷之十四 水蟲 介類 鱟」で示した如く、マスコット・キャラクターのようなトンデモないものがあることから、無視しようと思って黙っていた。しかし、今朝、総てを確認したところ、追加の「附録」二巻の内には確かな海産生物が有意に含まれていることから、『「大和本草」の水族の部』の完遂とは逆立ちしても言えないことが、判ってきた。されば、カテゴリの最後の【完】を除去し、続行することに決した。お詫び申し上げる。因みに、これは誰彼から指摘を受けた訳ではない。あくまで自分の良心が「大和本草諸品図」の方に働いていたことからの自発的な確認に由ったものである。――というより――正直――『ああ! また「大和本草」とつき逢えるんだな!』という喜びの方が遙かに大きいことを告白しておく。]

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