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2020/09/28

畔田翠山「水族志」 (二五四) ウミケムシ (ウミケムシ・ウミイサゴムシ)

 

(二五四)

ウミケムシ 一名イラカ【紀州田納浦】 漁師云此蟲海中ニテ人肌ニ觸ルレハ疼ムヿ毛蟲ノ如シ大サ三寸許毛蟲ニ似テ扁也口淡肉紅色背淡紅ニ乄横ニ褐色ノ條アリ背一道黑星㸃相並ビ㸃ノ外黃色ニシテ金色ヲ帶背竪ニ六道ノ白ク透明ナル毛相並ヒ聚リ生ズ六道ノ内背ノ二道ハ毛短シ此蟲乾ハ白毛左右ニ分レ聚ル一種吹上濱沙中ニ海砂ヲ聚メテ巢トシ形狀スリコギ介ノ如ク三寸許其尾大ニ乄末細ク形状圓シ蚯蚓ニ似タル紅色ノ蟲アリ長サ指ノ如シ橫理アリ左右ニ短白毛排生シ其尾金色ノ毛平扁ニ乄聚レリ此蟲沙蠶ノ一種也閩中海錯疏ニ沙蠶似土笋而長閩書ニ沙蠶生汐海中如蚯蚓泉人美謚曰龍膓ト云此蟲白毛生乄食用ニ充ベキ者ニ非ズ

 

○やぶちゃんの書き下し文

(二五四)

ウミケムシ 一名「イラカ」【紀州田納浦。】 漁師、云はく、「此の蟲、海中にて人肌に觸るれば、疼〔いた〕むこと、毛蟲のごとし」と。大いさ、三寸許り。毛蟲に似て扁〔へん〕なり。口、淡い肉紅色。背、淡紅にして、横に褐色の條あり。背、一道、黑き星の㸃、相ひ並び、㸃の外は黃色にして、金色を帶ぶ。背、竪に六道の、白く透明なる毛、相ひ並び聚〔あつま〕り生ず。六道の内、背の二道は、毛、短し。此の蟲、乾けば、白毛、左右に分れ、聚る。一種、吹上濱沙中に海砂を聚めて巢とし、形狀、「スリコギ介〔ガイ〕」のごとく、三寸許り。其の尾、大にして、末、細く、形状、圓〔まろ〕し。蚯蚓に似たる紅色の蟲あり。長さ指のごとし。橫の理〔きめ〕あり。左右に短き白毛、排生〔はいしゆつ〕し、其の尾、金色の毛、平扁〔へいぺん〕にして聚れり。此の蟲、沙蠶〔ゴカイ〕の一種なり。「閩中海錯疏」に『沙蠶〔ササン〕、土笋〔ドジユン〕に似て長し』と。「閩書〔びんしよ〕」に『沙蠶、汐海〔しほうみ〕の中に生じ、蚯蚓のごとし、泉人〔せんひと〕、美謚〔びし〕して曰はく、「龍膓」と云ふ』と。此の蟲、白毛生じて、食用に充つべき者に非ず。

 

[やぶちゃん注:原文はここから次のページ(本文最終ページ)。環形動物門多毛綱ウミケムシ目ウミケムシ科 Amphinomidae のウミケムシ類で、本邦では代表和名種として特にウミケムシ Chloeia flava にその名を与えているが、ウミケムシ類は本邦でも複数の種が分布する。私は本草書でウミケムシを立項してここまでちゃんと記した記載は見たことがない。それにまず、感動した。私は残念なことに実際に現認したことはなく、されば幸いなことに刺されたこともないわけだが(ネットの動画や記事写真で見たことしかない)、ウミケムシ類は海産の危険生物として必ず掲げられるものであり、さればこそ、ここでは、しっかりと記載したい。それは危険喚起と同時に、忌み嫌われて、それ故に実体を知られることが少ないウミケムシを少しばかり哀れに思うからでもある。動画で見る遊泳するそれは実は美しくさえあるからである。そこで、まず、西村三郎編著「原色検索日本海岸動物図鑑[Ⅰ]」(保育社平成四(一九九二)年刊)の解説を引く。筆者は内田紘臣氏(ピリオド・コンマを句読点に代え、図注記はカットした)。まずはウミケムシ目 Amphinomida の記載。

   《引用開始》

 全体にわたって同型の体節を持ち、体は異なった部分に分けられない。前口葉[やぶちゃん注:prostomium 或いはacron。環形動物や節足動物などの一部の体節制を持つ動物の、口よりも前方にある胴体最前方の節で、一般には頭部としての役割を持つ部分を指す。]ははっきりして、前部の体節に囲まれ、3本の感触手と2本の副感触手を備え、後縁中央から後方に伸びる肉冠[やぶちゃん注:caruncle。通常は頭部の後方にある突起(鳥の鶏冠(とさか)もこの語を用いる)。ウミケムシ類では小さな細い錐体状でそれほど目立つものではないようだ。]を持つ。口節もまた前部体節に囲まれる。咽頭は翻出可能(口吻)で、円筒形を呈し、歯はない。疣足は二叉型で、剛毛は種々な形状のものがあるが、すべて単剛毛である。背復両触鬚および鰓を持つ。ウミケムシ科[やぶちゃん注:Amphinomidae。]とケハダウミケムシ科[やぶちゃん注:Euphrosinidae。]の2科を含む。

   《引用終了》

続いて、ウミケムシ科 Amphinomidae の解説。

   《引用開始》

 体は短い紡錘形かまたはやや長く、断面は略円形か略四角形、前口葉は略卵形で、目節に癒合する。前口葉には5本の短い錐状あるいは糸状の突起があり、それらは1本の中央感触手と、その外側の1対の側感触手と、一番側方かつ腹側にある1対の副感触手である。0~2対の眼がある。通常前口葉後端から後方に伸びる種々の形状の肉冠を持つ。口節は2~5体節に囲まれたクッション状の前・後・側唇を持つ。口吻は短く、顎や乳頭様突起を欠く。疣足は二叉型で、背腹両疣足はよく分離する。剛毛はすべて単剛毛で、あるものでは中が中空で、そこに毒液がつまっている。背触鬚は紐状で、各疣足に1本または2本、腹触鬚は各1本で短い錐型。鰓は各背疣足のすぐ後にあり、叢状もしくは羽状分岐する。雌が幼若個体を自分の体につけて保護する種がある。本科の種は一般に岩上や割れ目やサンゴの間をはいまわるが、よく泳ぐものも知られている。17属約120種があり、基本的に熱帯~亜熱帯に分布し、浅海から非常な深海にまで棲息する。[やぶちゃん注:以下略。]

   《引用終了》

以下、同書では、本邦の浅海域で見られるものとして、以下の種が掲げられてある。

ウミケムシ科 Amphinomidae

 Amphinome 属ササラウミケムシ Amphinome rostrata

 Chloeia 属ウミケムシChloeia flava

 同属フタスジウミケムシ Chloeia fusca

 Notopygos 属セナジリウミケムシ Notopygos gigas

 Pareurythoe 属ニホンウミケムシ Pareurythoe japonica(日本固有種)

 Pherecardia 属タテジマウミケムシ Pherecardia striata

 Eurythoë 属ハナオレウミケムシ Eurythoë complanata

ケハダウミケムシ科 Euphrosinidae(本邦産の同科の種はEuphrosine 属のみが知られている)

 Euphrosine 属ケハダウミケムシ Euphrosine superba

 同属ミナミケハダウミケムシ Euphrosine myrtosa

以下に示す種ウミケムシ以外の記載には剛毛による刺傷危険性が記されていないが(一般に生物の学術的な記載には特に危険な種以外には記さないことの方が普通である)、上記のウミケムシ科の記載から、これらは程度の差こそあれ、危険であると考えてよい。知られた代表種ウミケムシの記載を引用しておく。

   《引用開始》

ウミケムシ

Chloeia flava(Pallas)

 体長2~13cm。背面正中部に暗紫色の円紋が並ぶのが特徴である。本州中部以南の浅海からかなりの深さの砂っぽい海底に棲息し、インド洋~西太平洋に広く分布する.夜間燈火に向かってよく泳ぎ上がる。剛毛に刺されるとひどく痛む。

   《引用終了》

静止画像では寧ろ「忌まわしい海の毛虫」の印象が強くなってしまうので、毛虫にある程度の耐性のある方には、YouTube の「Japan Marine Club 海想記」の「【危険生物】ウミケムシ(水中映像) " Chloeia flava "(データ表示:山口県長門市北長門海岸国定公園「青海島」・水温12℃・水深18m・ウミケムシ(海毛虫))をお薦めしたい。但し、おどろおどろしいバック・ミュージックは消してご覧あれ。私はとても美しいと思う。ウィキの「ウミケムシ」によれば、『体長は13cmに達し、背面の正中線には暗紫色の円斑が並んでいる。体の側部に毛を持ち、警戒した時に立たせる。この毛は中空で毒液があるため』、『毒針となっており、人でも素手で触れると刺されることがある。刺さると毒が注入される構造なので、毒針を抜いても毒は残る』。『刺された際にはセロハンテープ等で毒針をそっと取り除き、流水で洗い流す』と注意書きがある(ウィキペディアを非アカデミックなものとして見下す者が多いが、私が何冊も持っている危険な海産生物についての専門家の書いたものでも、ここまで処置をちゃんと記して呉れているものは実は少ないのだ。因みに、他のネット記事によると、このウミケムシの有毒成分は蛋白質のコンプラニン(Complanine)というドクガ(鱗翅(チョウ)目ヤガ上科ドクガ科 Artaxa 属ドクガ Artaxa subflava)のそれと同じ成分であるとし、刺されると、痒みを伴う炎症で数日間に亙って苦しめられるとあった)。本種は『本州中部以南、太平洋南西部、インド洋に分布』し、『比較的暖かい海を好み、京都府の宮津湾辺りにも多い。山形県で発見された例もある』。『海底の砂の中に潜っていることが多く、頭部のみを砂上にのぞかせていることもある』。『夜は海中を泳』ぎ、『泳ぐ速度は比較的』、『速い。肉食であり、動物性プランクトンを捕食する。オキアミ程度の大きさであれば』、『丸飲みすることもできる』。『投げ釣りの際に外道としてかかることがある』。『ただし』、『捕食のために積極的に行動することは少なく、餌を時々動かせば掛からないことが多い』ともある。なお、「㋑一種」はどうもウミケムシ類ではないように思われるのであるが(後注参照)、この末尾にある「此の蟲、白毛生じて、食用に充つべき者に非ず」とあるので、これをウミケムシに適用してみると、無論、どこにも食用となるという記載はない。こんな有毒な剛毛を持つものを食材とした習慣は一般には、あるまい。しかし、ネットを見ると、挑戦している御仁がいた! それによれば、剛毛の除去が大変であることを述べつつも、苦労して取り出した僅かな刺身はユムシに近く、甘い、とあった。但し、美味くないとする別人の記事もある。因みに毒成分は熱を加えると消失するらしい。面白いのだが、いろいろな調理過程の画像が如何にも多くの人にはエグいと思われるのでリンクはしない。フレーズ検索「ウミケムシ 食べ」で検索すると出てくる。流石の私でもウミケムシは食おうとは思わないな。

「イラカ」「刺鰕」か。接尾辞や語素としての「か」は「そのような様態を示すもの」の意があるから、単に注意喚起としての「刺すもの・奴」の意かも知れない。

「紀州田納浦」この地名では現認出来ない。思うに和歌山県和歌山市田野(たの)(グーグル・マップ・データ)のことではあるまいか。漁港名は「田ノ浦」であり、畔田が盛んに採取地として挙げる、「雜賀崎浦」と「若浦」(和歌の浦)の丁度、中間に当たる海辺に当たる。

「竪に六道の、白く透明なる毛、相ひ並び聚〔あつま〕り生ず」実際に背部の白い単剛毛の列が六筋かどうかは、種々の画像や動画を見ても、私にははっきりとはしなかった。但し、「六道の内、背の二道は、毛、短し」は確かである。その体側方向に二列の剛毛列がある、と言われば、そう見えなくもない。

一種」難物。刺すと書いていない以上、ウミケムシの仲間ではない。一つ、着目されるのは、浜の「沙中に海砂を聚めて巢とし」ているという記載である。これは直ちに、

環形動物門多毛綱フサゴカイ目ウミイサゴムシ(海砂虫)科(或いはそのまま Pectinariidae 科)Lagis 属ウミイサゴムシ Lagis bocki

を想起させる。砂を一層で綴った特異な角笛型(後方(下方)に向かって細くなる)の棲管(両端ともに開口する)を作って砂底中に住んでいる。本体は体長一~四センチメートルと小さく(本文のサイズよりは小さい)、二対の橙色或いはピンク色の鰓が第三~第四体節の左右にあり、その後に十五節の剛毛節を有する。個人ブログ「生物屋学生の日記」の「ウミイサゴムシ」の写真を見て頂くと、頭は丸くだんだん細くなり、その体側に白い剛毛が針のように(これは拡大写真なので、毛のようにという本文と一致する)生えているのが判る。解説に『顎や側面の毛?が金色』を呈しているというのも本記載との親和性を有するのである。ただ、西村氏の前掲図鑑では、棲息域を『本州中部の水深2030メートルの砂底に棲息する』と書いてある点がネックで、畔田の記載は「吹上濱沙中に」(場所は次注参照)いると書いてあり、これは砂浜海岸の浅い潮下帯に棲息しているということになってしまってダメなのである。ところが、である! リンクさせたブログ主のカニ好きの「生物屋学生」さんの記載をよく見られたいのだ! 彼は、そのウミイサゴムシを『メナシピンノが捕れたところで砂を曳いているとタモに入ってきました』と言っているのだ。甲殻亜門軟甲綱真軟甲亜綱十脚目抱卵亜目短尾下目スナガニ上科Xenophthalmidae 科メナシピンノ亜科メナシピンノ属メナシピンノXenophthalmus pinnotheroides というのは、有明海湾奥部に多数棲息することで知られる(他に瀬戸内海西部にも分布するが、準絶滅危惧種である)種である。しかも、その「生物屋学生」さんは、そこで『タモ』網で『砂を曳いていると』『入ってきました』とあるのだ。これはどう見たってドレッジじゃないぞ! 立って浸かって入れる浅瀬でタモ網を海底に曳いていたところが、たまたま獲れた、とおっしゃっているのだ! されば、吹上浜の浅瀬にウミイサゴムシがいても、少しもおかしくないことになるではないか!

「吹上濱」現在の和歌山県和歌山市吹上(グーグル・マップ・データ)は和歌山城の南に接した内陸であるが、公開シンポジウム「和歌山城と城下町の風景」のパンフレットとして和歌山県文化財センター編したこちらPDF)を見ると、『古代には和歌山城下町が立地する吹上の東側を流れていた紀ノ川は、戦国期までに吹上砂州を突き破り、水軒川に沿うように南流し』、『雑賀山の北に河口ができた』。その後、『和歌山城は岡北端の山塊に築かれ、城下町は吹上砂丘上に建設された』とあり、幕末の絵図を見ても、現在の地勢と大きな違いを認めないことから、この「吹上濱」というのは、紀ノ川の河口の左岸一帯を広域に指したものと考えてよいであろう。

「スリコギ介〔ガイ〕」思うに、文字通りに信用して、真正の貝類とするなら、擂粉木に似ているのは、斧足(二枚貝)綱異歯亜綱マルスダレガイ目マテガイ超科マテガイ科マテガイ属マテガイ Solen strictus 以外には私は考えられない。同種は本邦では東北以南の波の穏やかな内海の砂浜の穴を掘り、数十センチメートルから一メートル程の深さに棲息している。

「蚯蚓に似たる紅色の蟲」「ウミイサゴムシは赤くないだろ」とおっしゃる方に。和歌山県立自然博物館の平嶋学芸員さんのブログ「ハゼつれずれ」の「うみいさごむし」を見られたい。下方に棲管から出した本体が強く赤いのが判る。ここにも『先端の部分の毛が金色できれいです!』とある。

「橫の理〔きめ〕あり」ウミイサゴムシにあります。

「沙蠶〔ゴカイ〕の一種なり」ウミイサゴムシは多毛綱フサゴカイ目Terebellida であるから、広義の「ゴカイ」の一種である。江戸時代でも、海産生物を多く観察してきた畔田のような者ならば、初めて見ても、ゴカイの仲間であると認識するはずである。

「閩中海錯疏」以下の引用も含め、「ウミミミズ (ホシムシ・ユムシ・ギボシムシ)」の項で注記済み。

「閩書」明の何喬遠(かきょうえん)撰になる福建省(閩は福建省の旧名)の地誌「閩書南産志」。ネットでは電子化や画像は残念ながら、見当たらない。ちょっと「美謚」が気になるんだけど。

「泉人〔せんひと〕」泉州。漢文で国や広域地方名などに附した「人」は「じん」とは読まず、「ひと」と読むのがお約束。現在の福建省泉州市(グーグル・マップ・データ)。

「美謚〔びし〕」この「謚」は「諡号」(シゴウ/おくりな)と同じで、高貴な人物の死後に与えられる称号で、子孫が死者の生前の功績や事跡などを元につけるが、大まかには「美謚」・「平謚」・「悪謚」の三ランクがあり、「美諡」の最高位が「文」で以下「武」・「安」・「懿」(イ)などが続く。しかし、どうもここでは訳が分からない。「稱」の誤字じゃなかろうかなどと考えてしまうのだ。

「龍膓」腑に落ちる。

「此の蟲、白毛生じて、食用に充つべき者に非ず」既に述べた通り、ウミイサゴムシだとして、体側のそれは剛毛だし、虫体自体も小さいしね。]

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