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2020/09/08

大和本草卷之十三 魚之下 とくびれ

 

【和品】

トクヒレ 奥州ノ海ニアリ長一尺三四寸魚ニヨリテ大

小アリ橫ハセハシ其身鱗皮段〻アリテ橫ニ連レリ背

與腹ノカドニ短刺多ク連レリ尾ノ方ハカド五アリヒレ背腹

両方ニ長ク連レリ各三寸半許肉ニ筋多ク乄傘ノ骨アル

カ如シ觜ハ下腮短シ首ハ不大性味漢名不知甚他魚

ニ異レリ奇品ナリ

○やぶちゃんの書き下し文

【和品】

とくびれ 奥州の海にあり。長さ一尺三、四寸。魚によりて、大・小あり。橫は、せばし。其の身・鱗・皮、段々ありて、橫に連〔(つら)〕なれり。背と腹との、かどに、短き刺(はり)多く連なれり。尾の方は、かど、五つあり。ひれ、背・腹両方に、長く連なれり。各々〔(おのおの)〕三寸半許り。肉に筋〔(すぢ)〕多くして、傘の骨、あるがごとし。觜〔(くちばし)〕は下腮〔(あご)〕短し。首は大ならず。性・味、漢名、知らず。甚だ他魚に異れり。奇品なり。

[やぶちゃん注:新鰭亜綱棘鰭上目カサゴ目カジカ亜目トクビレ科トクビレ亜科トクビレ属トクビレ Podothecus sachi (Jordan and Snyder, 1901)。ハッカク(八角)の異名が却って通用しており、その方が相手には通り易い。ウィキの「トクビレ」によれば、『和名のトクビレ(特鰭)は、雄にみられる大きな背鰭と臀鰭から付けられた。北海道と関東ではハッカクといい、これは角張った体の断面を八角とみた。青森ではサチといい』、種小名の Sachi は『これによる。他にヒグラン、フナカヘシ、ワカマツなどがある。北海道では雄をワカマツ、雌をマツヨ、あるいは雄をカクヨ、雌をソビヨと呼び分ける地域もある』。『トクビレは北日本・ピョートル大帝湾・朝鮮半島の東岸など、太平洋北西部を中心に分布する海水魚である。沿岸の浅い海で暮らす底生魚で、岩礁や砂泥に体を横たえ、甲殻類や多毛類を主に捕食する』。『体は細長く角張っていて、頭が鼻先に向けて尖る。ホウボウの仲間と類似し、体長40-50cmほどにまで成長する。背鰭は8-10本の棘条と12-14本の軟条で構成される。鰭の形態に性的二形があり、雄の第2背鰭と臀鰭の軟条が異様に長く発達する。吻(口先)が長く突き出ており、腹側に10本以上の短い口ヒゲを有することが、近縁種との明瞭な鑑別点となる』。『本種は味の良い白身魚で、日本では底引き網・定置網・刺網などで漁獲される。刺身・塩焼き・干物・軍艦焼き(腹に味噌を詰めて焼く郷土料理)など、さまざまな調理法が知られている』。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のトクビレのページによれば、本種の『タイプ標本(ホロタイプ)』(Holotype:担名タイプ。ある生物を新種として記載する際に必要な模式標本の内で、記載論文で、ただ一つ、明示的に指定される最も重要な標本。「正基準標本」「正模式標本」とも呼ぶ。「holo-」は英語の接頭辞で「完全の」の意)『は青森県陸奥湾。来日したアメリカの魚類学者で米国スタンフォード大学総長でもあったデイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン)(David Starr Jordan 一八五一年~一九三一年)と彼の学徒であったジョン・オターバイン・シュナイダー(John Otterbein Snyder  一八六七年~一九四三年)が青森県で採取・記載した、とあった(以上の二人の学者のデータは独自に英文ウィキから見出した。なお、「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同ページには「コアクヨ」「マツヨ(松魚)」「バイギウオ」「キウガナ」「ヒゲラン」「フナカエシ」「セワカマツ」「トビオ」(アトムだ!)「トンビ」「ガガラミ」「カクヨ」「ソビヨ」「トビヨ」などの多彩な異名が載り、面白い!)。記載は一九〇一年であるが、採取は明治三三(一九〇〇)年八月八日から翌九日であったことが、「青森県産業技術センター」公式サイト内の塩垣優氏の「青森県の海産魚類」の解説で判明した。非常に奇体な魚体であるが(グーグル画像検索「Podothecus sachiをリンクさせておく)、遊泳するその姿は私は甚だ美しいと感ずる。これは「浦島太郎」譚の「舞い踊り」に最も相応しいとさえ思っているくらいだ。例えば、「アクアワールド大洗水族館」で撮影された、Sasuke Tsujita氏のYouTube の「トクビレ(Tokubire) Sailfin poacher Podothecus sachiをご覧あれ! なお、私は本種の干物を函館で食したが、これ、非常に美味い!

「漢名、知らず」現行の中名は「帆鰭足溝魚」である。]

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