畔田翠山「水族志」 オナガダヒ (ハマダイ)
(六)
オナガダヒ[やぶちゃん注:「オ」はママ。]【紀州日高郡薗浦】
形狀棘鬣ニ同乄其尾上尖末長ク糸出テ下尖ハ短シ
○やぶちゃんの書き下し文
(六)
オナガダヒ【紀州日高郡薗浦。】
形狀、棘鬣(たひ)に同じくして、其の尾の上、尖(さき)の末、長く糸出でて、下の尖は短し。
[やぶちゃん注:本文はここ。スズキ目スズキ亜目フエダイ科ハマダイ属ハマダイ Etelis coruscans か。本種は関東で「オナガ」(尾長)の異名を持つ。但し、「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のハマダイの画像を見て戴くと判るが、凡そ「棘鬣(たひ)」(マダイ)には似ていない。解説によれば、「浜鯛」と漢字で書くが、しかし、この和名のもとは『不明だが、推測で「はま」は実は「幅」の変化で、大きいことを現すという説があり、これをとると「大きい」、「鯛」は左右に側扁している、もしくは赤いという意味合いを現しているのではないか』とあり、成魚は一メートル『前後になる。体色は背の部分が赤く、腹側は赤味を帯びて白い。目が大きく、側扁(左右に平たい)し、細長い。尾鰭がとても長い』とあり、英語名も「Deepwater longtail red snapper」である。「snapper」は広くフエダイ科 Lutjanidae の仲間を指す語で、彼らは多く口が頭部のやや下にあって、前に突き出てており、口笛を吹くように見えることから、和名では「笛鯛」とし、英語の「snapper」は「パチッと鳴るもの」・「がみがみ言う人」の意で腑に落ちる。
「紀州日高郡薗浦」現在の御坊市(グーグル・マップ・データ)内であるが、地名は残っていないようである。【2020年10月15日追記】いつも御教授戴くT氏の御指摘を頂戴した。私がろくに探さずいただけであったちゃんと地名に残っていた。和歌山県御坊市薗(その)(グーグル・マップ・データ)である。T氏が添付して下さった「天保國繪圖紀伊國日高郡御坊付近」の中央に「薗浦」とあった(「ヱビスダヒ」の注を見られたい)。何時もながら、T氏に感謝申し上げる。]
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