北原白秋 邪宗門 正規表現版 眞晝 / 「外光と印象」パート~了
眞 晝
日は眞晝(まひる)――野づかさの、寂寥(せきれう)の心(しん)の臟(ざう)にか、
ただひとつ聲もなく照りかへす硝子(がらす)の破片(くだけ)。
そのほとり WHISKY(ウ井スキイ) の匂(にほひ)蒸(む)す銀色(ぎんいろ)の内(うち)、
聲するは、密(ひそ)かにも露吸ひあぐる、
色赤き、色赤き花の吐息(といき)……
四十一年十二月
[やぶちゃん注:本篇を以って「外光と印象」パートは終わっている。]
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