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2020/11/08

畔田翠山「水族志」 ホウザウダヒ (クロホシフエダイ)

 

ホウザウダヒ

大和本草曰寳藏ダヒ海魚ナリ其口嚢ノ口ヲ括ルカ如シ偏鄙人帶腰火打嚢ヲ寳藏ト云此魚ノ口似之常ノ「タヒ」ヨリ身薄ク味淡クシテヨシ色淡白不紅尾ニ近キ處黑㸃多シ牙ハ口中ニカクレテ口ヨリ見ヱ[やぶちゃん注:ママ。]ス尾ニ岐ナク直ニ切ルガ如シ常ノ「タヒ」ニ異レリ一種形狀「コロダヒ」ニ似テ細長頭短ク圓ク口小ニ乄鷹ノ羽ノ口ノ如シ口内赤色身薄扁淡靑黑色ニ微淡紅ヲ帶腹白色淡藍ヲ帶鱗淡黑色遍身黃色ノ黑㸃アリ背ノ㸃淡黑色ヲ帶尾岐少ナク淡黑色ニ乄黑星㸃アリ尾端黑也脇翅淡黑色腹下翅淡黑色ニシテ竪ニ黑斑アリ背鬣上下ヲ不分尾上迄連續シテ淡黑色ニ乄黑色ノ星㸃アリテ端黑色也一種同形ニ乄尾鬣ニ黑星㸃アリテ身ニ黑色ノ太キ斜文背ニ一條眼後ヨリ尾ニ至リ一條其下ニ一條アリ下ニアルハ色淺シ其身長ク扁シ「コロダヒ」ノ子ノ紋ノ如シ「コロダヒ」ハ身此魚ヨリ短ク厚シ味亦此魚ニ勝レリ

 

○やぶちゃんの書き下し文

ホウザウダヒ

「大和本草」に曰はく、『「寳藏ダヒ」 海魚なり。其の口、嚢〔ふくろ〕の口を括〔くく〕るがごとし。偏鄙〔へんぴ〕の人、腰に帶ぶる火打嚢〔ひうちぶくろ〕を「寳藏」と云ふ。此の魚の口、之れに似る。常の「タヒ」より、身、薄く、味、淡くして、よし。色、淡白、紅〔あか〕からず。尾に近き處、黑㸃、多し。牙〔は〕は口中にかくれて、口より、見ゑず。尾に、岐、なく、直〔ちよく〕に切るがごとし。常の「タヒ」に異れり』と。

一種、形狀、「コロダヒ」に似て、細長、頭、短く、圓〔まろ〕く、口、小にして、鷹の羽の口のごとし。口の内、赤色。身、薄く扁〔へん〕し、淡靑黑色に微淡紅を帶ぶ。腹、白色、淡藍を帶ぶ。鱗、淡黑色。遍身、黃色の黑㸃あり。背の㸃、淡黑色を帶ぶ。尾、岐、少なく、淡黑色にして、黑き星㸃あり。尾の端、黑なり。脇翅〔むなびれ〕、淡黑色。腹の下の翅〔ひれ〕、淡黑色にして、竪〔たて〕に黑斑あり。背鬣〔せびれ〕、上下を分かたず、尾の上まで連續して、淡黑色にして黑色の星㸃ありて、端、黑色なり。

一種、同形にして、尾鬣〔をびれ〕に黑星の㸃ありて、身に黑色の太き斜文〔しやもん〕、背に一條、眼の後ろより尾に至り、一條、其の下に一條あり。下にあるは、色、淺し。其の身、長く扁〔ひらた〕し。「コロダヒ」の子の紋のごとし。「コロダヒ」は、身、此の魚より短く、厚し。味も亦、此の魚に勝れり。

 

[やぶちゃん注:次にリンクさせた「大和本草」の注で、私は、

   *

体が扁側し、尾に近い位置に明白な黒点があり(但し、益軒はそれが多くあると言っているのが悩ましいのだが)、さらに歯が「口中にかくれて」いて、普通の状態では見えない(これが大事!)『尾に岐(また)』がなく(中央の凹みと上下の伸長が全くない)『直ちに切れたるがごと』き尾鰭を持つ点で、これは

スズキ目スズキ亜目フエダイ科フエダイ属クロホシフエダイ Lutjanus russellii

と断定していいように私は思う。ぼうずコンニャク氏の「市場魚貝類図鑑」のロホシフエダイのページを是非、見られたい。そこに上顎上顎の口内のイッテンフエダイ(同属のフエダイ属イッテンフエダイ Lutjanus monostigma)との比較画像がある。上顎の近心部の前歯がクロホシフエダイにはないのだ! なお、ぼうずコンニャク氏の解説によれば、本種は『シガテラ毒を持つ確率の高い魚』とある。要注意!

   *

と同定した。これを変更するつもりはない。

『「大和本草」に……』『大和本草卷之十三 魚之下 棘鬣魚(タヒ) (マダイを始めとする「~ダイ」と呼ぶ多様な種群)』に出る。

   *

「寳藏鯛」 常に鯛より身薄く、味、淡くして、よし。色、淡白、紅ならず。尾に近き處、黑㸃、多し。牙は口中にかくれて、口より見ゑず[やぶちゃん注:ママ。]。尾に岐(また)、なく、直ちに切れたるがごとし。常の鯛に異れり。

   *

というより、主文全部を「大和本草」から引くのは、ちょっとまずくありませんか? 畔田先生?

「コロダヒ」スズキ目スズキ亜目イサキ科コロダイ属コロダイ Diagramma picta である。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のコロダイのページを見て戴きたいが、その「由来・語源」の項に、「ころだい」という和名は「胡廬鯛」で、『「ころだい」は和歌山県での呼び名を標準和名にしたもの』とあり、『和歌山県では猪の子供を「ころ」と呼び、コロダイの稚魚にある斑紋が』『その猪の子供のものに似ているため』とあり、メインの写真の下に、幼魚の写真が二枚あるので確認されたい。成魚とは驚くばかりに似ていない。而して、畔田がここで、二箇所で言っている「コロダヒ」は、後は『「コロダヒ」の子の紋のごとし』と言っているからいいとして、こののそれも成魚ではなく、幼魚を指しているのではないかと私は考える。而して、「㋑」」ともに背鰭の形状や尾の黒点、及び、「」では斜体紋の数が気になるが、私はスズキ目スズキ亜目タカノハダイ科タカノハダイ属ミギマキ Goniistius zebra を候補の一つとして挙げてよいのではないかと思っている。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のミギマキのページを見られたい。にしても、「クロホシフエダイ」の一種には見えないのが、致命的だな……三、四日はあれこれと比定同定を考えてみたのだが、もう、疲れた。悪しからず。これで暫くは放置しておく。]

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