譚海 卷之三 金閣寺萬人講
○北山金閣寺も萬人講と云事ありて銀子壹兩奉納すれば、萬人講の衆中に入られ、金閣假山等一覽する事なり。銀閣寺は案内なくては猥(みだり)に一覽をゆるさず。大德寺塔中にもいづれも名人の造(つくり)たる庭あり。細川家を始め諸大名家の墳墓塔中に有て、皆々人の知る所の精舍也。五山ともに昔時の座敷張付(はりつけ)・園地など、そのまゝに殘りて、珍重すべき所多し。
[やぶちゃん注:「萬人講」一般名詞。神社仏閣に参詣したり、堂塔の建立修理などに寄進したりするために、多人数で作る講中。
「假山」庭園内に人工的に造った築山(つきやま)のこと。
「座敷張付」座敷の四方の紙或いは布や箔などを貼りつけた戸又は壁。]