譚海 卷之三 西本願寺の庭(附 西本願寺代替り)
○西本願寺の庭は池水海の如く磨くして、奇花異草なき物なし、京都名園の中の第一なるよし。又東本願寺庭は、別に佳園をまうけて寺より外に有、是も佳地也と云り。西本願寺地中に輿正寺御門跡と云有、これも本願寺同格にて、僧正に任ずる寺也。元來高田門跡なりしを、蓮如上人に歸依して寄住せられ、其後後見をせられ寺務を行ひし事あり、夫より巳來岡流となりて鄰寺にならびて、精舍門跡同樣にて有事(あること)也。
[やぶちゃん注:目録に標題なし。西本願寺絡みであるので前に添えておく。]
○西本願寺代替りには、かならず江戶へ出仕あり、誓紙を捧られ拜謁有、公儀にても南本願寺御取扱は武家の如く嚴然たる事也。年々使者兩寺より奉るには、前後の席をあらそひて六箇敷(むつかしき)ゆゑ、御返書等も同時にたまはる事也とぞ。