譚海 卷之三 攝家政所方花見
攝家政所方花見
○攝家の政所(まんどころ)がたなど花見に御出の時は、京都の町人、けふは九條樣の奧方花見に御出被ㇾ成ゆゑ、御供しまいらせんとて、行列の跡に付そひ參りて、御駕籠を留(とむ)る所にては我もとゞまり、花御覽ずる所にては我も傍に床几(しやうぎ)など借(かり)て休らひ、饌具(せんぐ)やうの物くひのみて、終日(ひねもす)付そひありく事、京師の風俗にて、前駈(まへがけ)の者も咎(とがむ)る事なし。
[やぶちゃん注:「饌具」膳立の器一式。無論、自分らで用意してきたそれである。]