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2021/03/04

明恵上人夢記 92

 

92

一、六月の禪中に、兜率天上(とそつてんじやう)に登る。彌勒の寶前に於いて、金(こがね)の桶を磨きて沈香(ぢんかう)を之に入れ、一人の菩薩、有りて、予を沐(あ)ましむと云々。

[やぶちゃん注:時制推定は「90」の私の冒頭注を参照されたい。ここでやっと翌月に転じている。

「禪中」坐禅中の観想の内に見た覚醒型の夢想である。

「兜率天」仏教の宇宙観にある天上界の一つ。サンスクリット語「トゥシタ」の漢音写。漢訳では「上足」「知足」とする。欲界の六天(四王天・忉利天・夜摩天・兜率天・化楽天(けらくてん)・他化自在天)の中の第四天。ここには七宝でできた宮殿があり、宮殿には内院と外院があって、内院には弥勒菩薩が住んで説法を行なっている。外院には天衆の遊楽の場所がある。ここでの寿命は四千歳で、その一日は人間界の四百年に相当するとされる。また、仏伝では、釈迦は、ここから降下して摩耶夫人の胎内に宿って生誕したとされている。弥勒は釈迦入滅から五十六億七千万年後、この兜率天での修行を終えて如来となり、地上に下って末法世の果ての総ての衆生を済度するとされてもいる。なお、底本の注には、『『比良山古人霊託』には明恵が兜率天に往生したと語られている』とある。「比良山古人霊託」(ひらさんこじんれいたく)は鎌倉前期の延応元(一二三九)年五月十一日に元関白・左大臣九条道家(当時は既に出家している)が病いとなり、慶政(けいせい:一説に道家の兄とする)が加持祈祷のために道家の住む法性寺に赴いた。慶政が法性寺にある間に二十一歳の女房に「比良山の大天狗」の霊が憑依し、自らを藤原鎌足の以前の祖であると称し、五月二十三日から二十八日までの間に慶政と三度の問答をしたが、その問答を慶政が記録したものである。その内容は、天狗が現れた意図・道家の病いの原因と治療法・関係者や著名人の後世(ごぜ)・狗の世界の状況などに及んでいる。

「沈香」狭義にはカンボジア産「沈香木(じんこうぼく)」を指す。東南アジアに植生するアオイ目ジンチョウゲ科ジンコウ属 Aquilaria の、例えば、アクイラリア・アガローチャ Aquilaria agallocha が、風雨や病気・害虫などによって自分の木部を侵された際に、その防御策としてダメージを受けた部分の内側に樹脂を分泌する。その蓄積したものを採取して乾燥させ、木部を削り取ったものを「沈香」と呼ぶ。原木は比重が〇・四と非常に軽いが、樹脂が沈着することによって比重が増し、水に沈むようになることからかく呼ぶ。原木は幹・花・葉ともに無香であるが、熱することで独特の芳香を放ち、同じ木から採取したものであっても、微妙に香りが違うために、僅かな違いを利き分ける香道において「組香」での利用に適している(以上はウィキの「沈香」を参考にした)。]

 

□やぶちゃん現代語訳

92

 六月の禅観中の折り、こんな夢を見た――

 兜率天の天上へと登る。

 ありがたき弥勒菩薩の宝前に於いて、金で出来た桶(おけ)を、まばゆいばかり磨き上げた中に、沈香(じんこう)を入れ、一人の菩薩が来たって、私を、その沈香の香でもって、沐浴させて下さる……

 

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