大和本草附錄巻之二 魚類 ビリリ (神聖苦味薬・水族由来に非ざるものと私は推定)
ビリヽ 霍亂腹痛牙齒痛ニ用ユ異邦ヨリ來ル是ハ魚ノ
膽ニ加藥シテ煉堅メタル物也魚ノ血トモ云
○やぶちゃんの書き下し文
ビリリ 霍亂〔(かくらん)〕・腹痛・牙齒痛〔(がしつう)〕に用ゆ。異邦より來たる。是れは、魚の膽〔(きも)〕に加藥して、煉り堅めたる物なり。「魚の血」とも云ふ。
[やぶちゃん注:これは昨年の九月十三日、「大和本草」の水族の部の本巻分の最後の最後に悩まさせられた奴と同じじゃないか!?! 「大和本草卷之十三 魚之下 ビリリ (神聖苦味薬)」の注で、私は『さても。最後の最後に困らされる。全く何だか分からない。一つだけ、赤松金芳氏の論文「中井厚沢とその著書「粥離力考」(『日本醫史學雜誌』第十巻第二・三号。昭和三九(一九六四)年発行。PDF)で、是非、読まれたいが、そこではその正式名をヘイラ・ピクラ(Hiera Picra)とし、所謂、万能薬「神聖苦味薬」の一種であるようだ(魚の肝(きも)由来というのはガセネタのようである)。而して、これは所謂、錬金術の中で創造された下らぬものであるような気がした』と述べた。その後に情報も皆無である。この「附錄」はどうも、本巻記載後に書いたものではなく、本巻を書くために益軒が集めた資料集の一部を合わせたものなのではないか? という感じが強くしてきた。
「霍亂」日射病、及び、夏場に発症し易い激しい吐き気や下痢などを伴う急性消化器性疾患。]
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