大和本草附錄 裙帶菜 (ワカメ/エンドウ)
食物本草ニ所載ワカメナリ救荒野譜所
載爲豌豆葢二物而同名者也多食スレハ腹痛ス
○やぶちゃんの書き下し文
「食物本草」に載する所の「わかめ」なり。「救荒野譜」に載する所、「豌豆〔(ゑんどう)〕」と爲〔(な)〕す。葢し、二物にして名を同じくする者なり。多食すれば、腹痛す。
[やぶちゃん注:同名異物の追加記載であるが、一方が海産藻類なのでピックアップした。益軒は本巻で既に「大和本草卷之八 草之四 裙蔕菜(ワカメ)」として挙げている。そこで私は記載から、
褐藻綱コンブ目チガイソ科ワカメ属ワカメ Undaria pinnatifida
の他に本邦に分布する同属の非常によく似た、
アオワカメ Undaria peterseniana
ヒロメ Undaria undarioides
を挙げた。詳しくはそちらの私の注を読まれたい。因みに「エンドウ」は、
被子植物門双子葉植物綱マメ目マメ科マメ亜科エンドウ属エンドウ Pisum sativum
である。
「食物本草」明の汪穎(おうえい)の撰になる食療食養専門書。
「救荒野譜」明の王西樓の撰で、同じく明の姚可成の校訂になる救荒植物譜。和刻本は享保元(一七一六)年に刊行されている。しかし、同書を「東京国立博物館デジタルライブラリー」で二度縦覧したが、「裙帶菜」は見つからなかった。不審。
「多食すれば、腹痛す」どちらもそうなるから、まあ、いいか。
さて、「大和本草附錄巻之一」には以上を以って純粋に水族と規定し得ると考える植物は他に載らないと判断する。]
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