二〇一九年十一月四日附『日本経済新聞社』ウェヴ記事「原民喜の遺書発見 友の詩人宛て、北海道」より電子化せる北海道立文学館(札幌市)で二〇〇三年に長氏の遺族から寄贈された資料中より発見されたる長光太宛遺書
[やぶちゃん注:現存する二〇一九年十一月四日附『日本経済新聞社』ウェヴ記事「原民喜の遺書発見 友の詩人宛て、北海道」を元に原民喜の祥月命日昭和二六(一九五一)年三月十三日:満四十五歳:鉄道投身自殺)である本日、公開する。青色罫20✕20原稿用紙。冒頭一行空け。封筒は裏のみで表の宛名は不明。]
これが君におくる最後の手紙です
僕は誰ともさり氣なく別れて行きたいの
です
爲しとげなかつた文學の仕事や数々の心
の傷手が僕にとつて殘念だらうか しか
し僕は既に人間の眼を離れてすべてが透
明化されてゆくやうな氣持です。
では、お元氣で…。 長光太は長生して
くれ。
原 民喜
長 光太 様
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