只野真葛 むかしばなし (28)
「母樣の歌は、三島などは、殊に、ほめたりし。」
と、父樣被ㇾ仰し。書とめなども、なし。
○「春月おぼろなり」といふ題にて、
名殘なく曇なはてそ月影のかすむは春のならへなりとも
といふ歌ばかり、いかがしてか、今も、おぼへたり。
[やぶちゃん注:「三島」江戸日本橋の幕府御用の呉服商にして国学者・歌人・能書家としても知られた三島自寛(享保一二(一七二七)年~文化九(一八一二)年)。本名は景雄。既出既注。]
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