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2021/05/03

大和本草附錄巻之二 介類 海粉 (貝灰粉)

 

本草綱目蛤蜊粉異名海蛤時珍曰海粉者海中諸

蛤之粉以別江湖之蛤粉蚌粉也今人指稱但曰

海粉蛤粉宼氏所謂蛤之灰是矣

○やぶちゃんの書き下し文

「本草綱目」に、『蛤蜊粉〔(がふりふん)〕、異名「海蛤〔(かいがふ)〕」』、『時珍曰、海粉は海中諸蛤の粉〔なり〕。以つて、江湖の蛤粉・蚌粉に別つなり。今人、指稱して、但〔(ただ)〕、「海粉」と曰ふ。蛤粉は宼氏の謂ふ所の、蛤の灰、是れなり。』と。

[やぶちゃん注:「海粉」李時珍の「本草綱目」のそれは、巻四十六の「介之二」の「蛤蜊」の項の「發明」の中に中途半端な柱で以下のように出る。しかし、最初に断っておくと、この「蛤蜊」というのはちょっと困った立項(貝の固有名)で、その記載は、概ね、ハマグリ類(タイプ種は斧足綱異歯亜綱マルスダレガイ科ハマグリ亜科ハマグリ属ハマグリ Meretrix lusoria 。言っておくと、我々が本物の「ハマグリ」と思って食べているものの殆んどは同種ではなく、同属のチョウセンハマグリ Meretrix lamarckii 又はシナハマグリ Meretrix petechialis である(この種別を流通では示す義務がない)。それはまだいい方で、料理として出る場合やむき身の中には凡そ全くの別種を食わされていることは承知しておくべきである)かとも思われるものの、既にその前にハマグリらしき「海蛤」と「文蛤」が立項されてしまっており、現行の中日辞書を引いても、一番に「バカガイ」類(タイプ種異歯亜綱バカガイ上科バカガイ科バカガイ属バカガイ Mactra chinensis )・「シオフキ」類(バカガイ科バカガイ属シオフキ Mactra veneriformis )とし、二番目に「通称」として「ハマグリ」類を挙げる。しかし、どうも私には斧足類(二枚貝類)のハマグリ類を基本としたその大きさがハマグリ大の前後を示すところの多様な種を十把一絡げにしているとしか思われないのである。既に同じことを、「大和本草卷之十四 水蟲 介類 蛤蜊」で私は述べている。まあ、いい。当該部を見よう(囲み字は太字に代えた)。

   *

蛤蜊粉釋名海蛤粉【時珍曰、「海蛤粉者、海中諸蛤之粉。以别江湖之蛤粉蚌粉也。今人指稱但曰海粉蛤粉。宼氏所謂「衆蛤之灰」是矣。近世獨取蛤蜊粉入藥。然貨者亦多衆蛤也。大抵海中蚌蛤蚶蠣性味鹹寒、不甚相遠、功能軟散小異大同。非若江湖蚌蛤無鹹水浸漬但能淸熱利濕而已。今藥肆有一種、狀如線粉者、謂之海粉。得水則易爛。蓋後人因名售物也。然出海中沙石間、故功亦能化痰耎堅。」。】

   *

「蛤蜊粉」 釋名 「海蛤粉」【時珍曰、「海蛤粉は、海中の諸蛤の粉なり。以つて、江湖の蛤粉・蚌粉(ばうふん)と别つなり。今の人、指稱して、但だ、海粉・蛤粉と曰ふ。宼(こう)氏[やぶちゃん注:宋代の本草学者寇宗奭(こうそうせき)。「本草衍義」の著者として知られる。]が所謂(いはゆ)る『衆蛤の灰』、是れなり。近世、獨り、蛤蜊粉を取りて、藥に入る。然れども、貨(う)る者は亦、多く、衆蛤なり。大抵、海中の蚌・蛤・蚶・蠣の性味(せいみ)、鹹・寒にして、甚だは相ひ遠からず。功能、軟・散[やぶちゃん注:軟膏と散薬の意か。]、小異にして大きに同じ。江湖の蚌蛤、鹹水に浸漬(しんし)すること無くして、但だ、能く熱を淸し、濕を利するごときに非ざるのみ。今、藥肆に一種有り。狀(かたち)、「線粉」のごとくなる者の、之れを「海粉」と謂ふ。水を得れば、則ち、爛れ易し。葢(けだ)し、後人、因りて名づけて、售(う)り物とするなり。然れども、海中の沙石の間に出づ。故に、功も亦、能く痰を化〔け〕し、堅(かた)きを耎(やは)らぐ。」と。】

   *

これで、「よかろうかい」とも思ったが、最後に、龍尾山人氏(書道具店主)のブログ「断箋残墨記」に「蛤蜊箋の材料」という記事を発見、きらきら輝く紙だ! その記載を見るに、古くは雲母粉を用いたとあり、そもそもが真珠光沢を持たないハマグリだの、バカガイだの、シオフキではこんなものは作れない(原料「蛤蜊粉」の写真もある)。とすれば、それらにアワビやヤコウガイなどの腹足類(巻貝類)の内側の真珠光沢層の粉砕末を混入してあるのではないか? それが、古くから行われており、明代にも既にあったとなら(漢方薬でキラキラは受けるだろう!)、この「蛤蜊粉」にはそれらも加えなくてはならないことになる、と書いて擱筆しておく。]

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