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2021/05/22

大和本草卷之八 草之四 水草類 萍蓬草(かはほね) (コウホネ)

 

萍蓬草 葉ハ芋ニ似テ厚ク光アリ莖ツヨク水上ニタチ

ノホル葉モ花モ水面ニウカハス根大ナリ夏月黃花ヲ開キ

秋ノ末マテアリ一莖開一花堪賞本草陳藏器李時

珍ガ說可考倭流ノ外醫及女醫コノンデ用之性ヨク血

ヲ收ム又ヲカカハホ子アリ陸生スカハホ子ノ花ニ似タリ

○やぶちゃんの書き下し文

萍蓬草(かはほね) 葉は芋に似て、厚く、光あり。莖、つよく、水上にたちのぼる。葉も花も、水面にうかばず。根、大なり。夏月、黃花を開き、秋の末まで、あり。一莖、一花を開く。賞〔する〕に堪へたり。「本草」、陳藏器・李時珍が說、考ふべし。倭流の外醫及び女醫、このんで、之れを用ゆ。性、よく血を收む。又、「をかかはほね」あり。陸生す。「かはほね」の花に似たり。

[やぶちゃん注:双子葉植物綱スイレン目スイレン科コウホネ属コウホネ Nuphar japonica 当該ウィキによれば、『水生の多年生草本。浅い池や沼に自生し、夏に黄色い花を咲かせる。別名センコツ(川骨)ともよばれる』。『和名の由来には複数の説がある。一説には、川辺に生え、ワサビ状の白い地下茎が白骨のように見えることから、「河の骨」の意でこの名がついたとされている』が、「園芸植物大事典」に『よると』、日本最古の本草書「本草和名」(ほんぞうわみょう:深根輔仁(ふかねのすけひと)の撰になる日本現存最古の本草書。醍醐天皇に侍医権医博士として仕えた深根により、延喜一八(九一八)年頃に編纂された)には『崔禹錫の』「食経」からの『引用として』、『「骨蓬」という名を引き、その和訓として』「加波保禰」の字を『当てており、これは「カハホネ」と読める。このことから』「骨蓬」の『音便によってこの名が生まれたとみるべきという』。『日本では本属の根茎を薬草として「川骨(せんこつ)」と言うが、これもこの語に漢字を当てたものと見られる』。『別名は』他に「カワホネ」「ヤマバス」の『地方名でもよばれる』。『日本の北海道南西部・本州・四国・九州』及び『朝鮮半島に分布する。水深は浅く、泥深い池沼や小川に自生する』。『高さは水深によって異なる』。『根茎は白くて太く肥大しており、水底の泥中を横に這い、まばらに葉の跡がある』。『根茎の古い部分は黒褐色をしている』。『葉は根茎の先端部から長い葉柄を出し、水上葉と水中葉がある』。『葉の形はスイレンの葉の形に近いが、やや細長い葉身をつける。水上葉は水面上に抜け出す長柄がついた大きな長卵形で、基部は矢じり形』、『大きさは長さ』二十~三十センチメートルで、幅は七~十二センチメートルあり、質が厚く、深緑を呈し、『表面につやがある』。『水中葉は短柄で質』は『薄く』、『やや透明で、ひだが多く』、『ひらひらしている』、『冬季には水中葉のみを残す。暖かくなるにつれ、次第に水面に浮く葉をつけ、あるいは一気に水面から抽出して葉をつける』。『花期は夏』(六月~九月頃)『で』、『水上に長い花柄を出し、その先端に上向きにカップ状の黄色い』五『弁の花を』一『個だけ咲かせる』。『花の径は』四~五センチメートル。『花は葉陰につくが、黄色い花弁のように見えるものは萼片である』。『中にある花弁は雄しべが変形したもので、色は黄色く、萼片の半分以下の長さで雄しべを囲むように多数ある』。『花糸と葯はほぼ同じ長さである』。『花が終わると黄色だった萼片は緑色が強くなり』、『果実期も残る』。『果実は液果で』、『花柄は倒れて水中で成熟し、くずれて』、『多数の種子をばらまく』。『種子は倒卵形で褐色をしており、色・形の見た目はチョコレート菓子のようで、長径は』五~六ミリメートル『ほどの大きさがあり、種皮はなめらかある』。『池沼の泥中にある肥大した根茎を掘り上げて、細根を切り捨て、根茎を縦割りにして天日乾燥もしくは火力乾燥したものは川骨(センコツ)と言い』、『日本薬局方に収録された生薬である』。『漢方では鎮咳、去痰、利尿、消炎、強壮の作用があるとされ』、『解熱、鎮痛を目的とした漢方方剤に配合される』。『生薬は利尿に、また浄血、止血、強壮、解熱などに薬剤として利用される』。『アイヌ民族はカパト』『とよび』、『地下茎をアク抜き・乾燥したものを保存食とし、水で戻して汁の実として利用した』。『なお、北海道空知総合振興局の樺戸郡の名称はこれに由来する』。『コウホネ属は北半球の温帯を中心に』二十『種ほどが知られ、日本では』四『種』及び幾つかの『変種が知られる。しかし変異の幅も広く、その区別はなかなか難しい。分類上の扱いにも問題があるようである。ひとつの区別に』、『コウホネは水上葉を水面から抽出するが、他の種は水上葉を水面に浮かべる、というのがあるが、コウホネも水面に葉を浮かべることがあり、条件によっては水上に出ない例もある』として以下の三種を挙げる。

オゼコウホネ Nuphar japonicum var. ozeense (尾瀬や月山の池沼に植生する。葉が水上に抜け出さず、水面上に浮かぶ)

ネムロコウホネ Nuphar pumilum (日本の北方に植生する。エゾコウホネとも呼ぶ)

ヒメコウホネ Nuphar subintegerrima (本州中南部から九州。他のコウホネ類と異なり、浅瀬では葉を立ち上げず、水面に葉を浮かべやすい)

『「本草」、陳藏器・李時珍が說、考ふべし』「本草綱目」巻十九の「草之八」の「水草類」にある「萍蓬草」であるが、既に「大和本草卷之八 草之四 水草類 睡蓮 (ヒツジグサ〈スイレンという標準和名の花は存在しない。我々が「スイレン」と呼んでいるのは「ヒツジグサ」である〉)」で全文を訓読して示してある。益軒先生、私はそこで、それをコウホネ類には比定せず、ヒシ(双子葉植物綱フトモモ目ミソハギ(禊萩)科ヒシ属ヒシ Trapa japonica )同定しました。それを変更する気はありません。コウホネ類でないことは、一読瞭然です。先生は、私の考えと同じく、「コウホネとは違う」ということを、ここで示唆されておられることと存じます。

「外醫」外科医。

「女醫」女医ではありませんよ、婦人科医です。

「をかかはほね」不詳。識者の御教授を乞う。]

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