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2021/05/27

大和本草諸品圖上 蓴菜・睡蓮・荇菜

 

1_20210527170201

 

蓴菜

 睡蓮

 蓴菜

 荇菜

 三種

 一類

――――――――――――――――――

睡蓮

――――――――――――――――――

荇菜

――――――――――――――――――

[やぶちゃん注:遂に最後の「諸品圖」巻(上・中・下三巻)に入る。囲み字は太字に代えた。画像は国立国会図書館デジタルコレクションの原本画像を使用した(当該部はここ)。裏写りがかなり強いが、細部の描写は、こちらの方が元の筆致を伝えていると私は判断するものであるからである。底本の中村学園大学図書館蔵本画像PDF11コマ目)はすこぶる明瞭なものの、読み易さを考えて、明度が異様に高く設定されていて、非常に見やすいとは言え、実は原本の筆致が失われていると感ずるからである。以下、特別なケースを除いて、これでゆく。

 なお、本ページの如く、最大で左右頁四種の内三種が水族の場合は、図を纏めて、トリミングせずに示し、翻刻して注を附す。その場合、本図の右上の「宮城野ハギ」のように水族でないものは翻刻や注対象からは外す。囲み字は太字に代える。電子化では各図の間をダッシュで区切った。ここでは、訓点を含めて原本に忠実に翻刻し(但し、熟語指示のダッシュは省略した)、必要と認めたものだけを訓読することとする。

 正直、この「諸品圖」の絵は博物画として決して上手くはない。しかし、それでも「諸品圖上」と「同中」の植物は静物であるだけに、それほど「下手」とは思われず、寧ろ、枝葉の細部をかなり細かに描いて、時に花や実を拡大して添えたりしており、絵だけでも種同定がかなり可能な感じがするが、これが、「同下」(中村学園大学図書館蔵本画像・PDF)の「禽類」に入ると。かなり怪しくなってくる。事実、所持する平凡社刊の下中弘氏編集・発行の「彩色 江戸博物学集成」(一九九四年刊)の「貝原益軒」でも、鈴木道男氏が、『身近な小鳥はよく要点をおさえて図も描いており、この時期の版本としては上出来のものである。しかしアオサギやトキ、バン、クイナ(いずれも推定)』(これは甚だ深刻な謂い方であって、標題はそれぞれそうなっていても(実際にそうなっているのである)、実際に現在の当該種に同定出来る確証がないことから、かく言っておられるのである。これは本草図譜としては、かなり深刻にして致命的な事態と言わざるを得ない)『といった水禽類など、まだ図のみから識別できる水準にはない』と注されておられるのである。さらに、これが続く「魚類」(底本12コマ目参照)になると、正直、目も当てられない感じのものが増えてくるのである。私は実はこの図の内、少なくとも「魚類」パートのそれは、筆致や対象把握のレベルが著しく落ちており、益軒の自筆とは思っていない。恐らくは、絵心のあまりない彼の弟子の手になるものなのではないか? と推測している。中でもトビッキリの仰天デフォルメの最たるものが、「カブトガニ」の図で、これは、二〇一八年四月の『大和本草卷之十四 水蟲 介類 鱟 附「大和本草諸品圖」の「鱟」の図 参考「本草綱目」及び「三才圖會」の「鱟」の図 一挙掲載!』で特別にフライングして示したが、御覧の通り、「御当地キャラ」と見紛うものである。こんなシュール(絵としては面白いし、カブトガニの甲殻機動隊的イメージはよく出てはいる)なものは、私なら、博物画として載せることを――絶対に――許さない。あの世から化けて出ても、だ。芳賀氏も前掲書で、この『魚類図には、大雑把に描かれたものが多い。水棲動物を空気中で描くのだから作画自体が困難ではあるが。』(ここで句点を打っておられる芳賀氏の内心が私にはよく判る)『これらの絵図は、益軒本人の作なのか、彼の死後』、『余人が描いたものか不明だが、私は後説を採りたい』とはっきり述べておられるのである。そういうこともあって、殊更に仰々しく一図一図をトリミングはしないのである。悪しからず。

「蓴菜」スイレン目ハゴロモモ科ジュンサイ属ジュンサイ Brasenia schreberi 「大和本草卷之八 草之四 水草類 蓴 (ジュンサイ)」を参照されたい。

「睡蓮」双子葉植物綱スイレン目スイレン科スイレン属 Nymphaea 亜属 Chamaenymphaea 節ヒツジグサ Nymphaea tetragona 「大和本草卷之八 草之四 水草類 小蓮花 (ヒツジグサ)」を参照されたい。

「荇菜」私は双子葉植物綱ナス目ミツガシワ科アサザ属ガガブタ(鏡蓋) Nymphoides indica 或いは、アサザ属ヒメシロアサザ Nymphoides coreana に同定した。「大和本草卷之八 草之四 水草類 荇 (ヒメシロアザサ・ガガブタ/(参考・アサザ))」を参照されたい。]

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