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2021/05/06

大和本草卷之八 草之四 水草類 石龍芮(たがらし/うんぜり) (タガラシ(異名ウマゼリ))

 

石龍芮 京都ノ方言ニタカラシトモ又タゼリトモ云筑紫

ニテウンゼリ。ウバゼリト云三葉芹ニハアラス葉ニヒカリアリ

テ花不好人是ヲ食ス無毒味三葉芹ニヲトル食スル

者モ亦マレナリ本草毒艸ニノセタリ一種葉莖實共ニ

石龍芮ニ似テ小ナルアリ可爲別種西土ノ俗名ヒキ

ノカサト云

○やぶちゃんの書き下し文(〈 〉は左ルビ)

石龍芮(たがらし〈うんぜり〉) 京都の方言に「たからし」とも、又、「たぜり」とも云ふ。筑紫にて「うんぜり」・「うばぜり」と云ふ。三葉芹〔(みつばぜり)〕には、あらず。葉に、ひかりありて、花〔は〕好からず。人、是れを食す。毒、無し。味、三葉芹に、をとる。食する者も亦、まれなり。「本草」、「毒艸」にのせたり。一種、葉・莖・實、共に石龍芮に似て、小なるあり。別種と爲すべし。西土の俗名、「ひきのかさ」と云ふ。

[やぶちゃん注:双子葉植物綱キンポウゲ目キンポウゲ科キンポウゲ属タガラシ Ranunculus sceleratus 当該ウィキによれば、「田辛子」「田枯し」で、水田や用水路などに生える(幾つかの同種の画像を確認したところ、湖沼や池の岸の浅瀬にも平気で生えているので広義の水草と言える)雑草であるが、キンポウゲ科 Ranunculaceae にありがちな、有毒植物であるので注意! 『和名の由来は、噛むと辛味がある』(噛んではいけません!!!)『ことから「田辛子」という説と、収量の少ない田に生えることから「田枯らし」という説がある。西国、特に旧周防国、福岡県(久留米市、筑紫地域)、熊本県鹿本郡ではウマゼリと呼ばれてきた』。『日本全土の水田のような水たまりによく生える二年草』で、高さは二十五~六十センチメートル。花期は三~五月で、『よく枝分かれして』、『多数の花をつける。全体に黄緑色で柔らかい。キツネノボタン』(キンポウゲ属キツネノボタン Ranunculus silerifolius )『などによく似ているが、果実が細長くなるのが特徴』とあり、さらに、環状イソプレン化合物である発泡剤『プロトアネモニン』(Protoanemonin:その分解物をラヌンクリン(Ranunculin)と呼び、やはり有毒。後注参照)『という毒をもち、誤食すると』、『消化器官がただれたり、触ると皮膚がかぶれたりする』とある。『西国、特に旧周防国、福岡県(久留米市、筑紫地域)、熊本県鹿本郡ではウマゼリと呼ばれてきた』とあり、これは「馬芹」で、「うんぜり」「うばぜり」もその訛りと考えてよい。但し、「ウマゼリ」は同属の有毒種で後注に出るキツネノボタン Ranunculus silerifolius や、後に「毛莨」として立項される ウマノアシガタ Ranunculus japonicus の異名でもあり、さらに面倒臭いことに、全然関係ない複数種(当該ウィキ参照)の異名・地方名でもある。なお、この漢語「芮」は音「ゼイ」などで、意味は「小さな草・芽生えたばかりの草」の他に「水際(みずぎわ)」の意もあって、この草に用いられて腑に落ちる。

「花〔は〕好からず」益軒先生、花の見た目の好みに、相当、五月蠅いらしい。

「三葉芹〔(みつばぜり)〕」セリ目セリ科ミツバ属ミツバ亜種ミツバ Cryptotaenia canadensis subsp. Japonica で、普通に我々の食しているミツバのことであろうが、葉も花も全然似てないのに、わざわざ注意喚起している意図が判らない。

「葉に、ひかりありて」確かに、海外サイトの同種のこ複数の画像を見ると、葉がやや厚みを持っており、表面がツヤっぽくて、光沢を持っていることが判る。

「人、是れを食す。毒、無し。味、三葉芹に、をとる」というか、既に述べた通り、有毒で、皮膚接触は勿論、消化管炎症もかなり重い症状を呈しますから、絶対! だめですよ! 益軒先生!!!

『「本草」、「毒艸」にのせたり』確かに「石龍芮」は「本草綱目」の巻十七下の「草之六」の毒草類に入っており、その「集解」中に、『寇宗奭所言、陸生者、乃是毛華有大毒不可食』という文字列を見出せる。しかし、他の「集解」の中には食うとする記載もある。いやいや! 確かに有毒! 宋の本草学者寇宗奭(こうそうせき)先生のそれが正しい!

「葉・莖・實、共に石龍芮に似て、小なるあり。別種と爲すべし」私はそれほど似ていないとおもうのだが、さっき出たキンポウゲ属キツネノボタン Ranunculus silerifolius か? 而して属名で判る通り、ラヌンクリンを有し、有毒である。

「西土」西日本。特に九州。

「ひきのかさ」恐らくは「蟇の傘」であろう。キンポウゲ属ヒキノカサ Ranunculus ternatus 。この黄色い花は、エナメルを塗ったような強い光沢があることが、当該ウィキの画像で判る。半夏堂氏のサイト「日本の水生植物」の「ヒキノカサ」が非常に詳しいが、そこでも、『花弁には強い光沢があり、写真撮影ではAEの際、花弁に露出が引っ張られる撮影者泣かせの花の一つ』とあり、また、『和名は秀逸で「蛙の傘」であるとされている。草体の大きさや湿地という自生環境を見事に表現しているものだと思う。ただ』、『個人的にこの説には異議があり、蛙の古語は「川津」(かわず、かはつ)で万葉集の時代から芭蕉の「かわず飛び込む」まで一貫して用いられている』。『ヒキ=カエルという解釈はやや強引で、ここは素直にヒキガエル』『の傘=ヒキノカサと素直に解釈した方が腑に落ちる。どちらにしても湿地を想起させる優雅な名称だ』とある(激しく同感)。これだけの生態学的記載の中に有毒とないのだが、まあ、キンポウゲ属Ranunculus ですからね、触れるのも、食べるのも、やめときやしょう。というより、絶滅危惧II類(VU)ですから。但し、筆者の、自生するが、それが特定の場所に偏って見られる植物種群の幾つかは、『湿地に対する人為的介入が途絶えてしまえば一気に消滅してしまう』という警告は、非常に目を引いた。是非、読まれたい。]

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