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2021/05/15

大和本草卷之八 草之四 水草類 浮薔(なぎ) (ミズアオイ)

 

【外】

浮薔 三才圖繪草木十卷ニノセタリ其圖ニカケル

葉花澤桔梗ナリ六七月採テ湯淖晒乾再泡鹽炒

拌食或醬醯拌食生食亦可トイヘリ水澤ニ生ス葉

厚ク乄慈姑ニ似タリ夏秋紫碧花ヲ開堪久可愛和

俗ニ水葵トモ澤桔梗トモ云花色桔梗ニ相似タリ又

有白花者葉圓而短與碧花者異

○やぶちゃんの書き下し文

【外】

浮薔(なぎ) 「三才圖繪」「草木十卷」にのせたり。其の圖にかける葉・花、澤桔梗(なぎ)なり。『六、七月、採りて、湯に淖〔(ひた)〕して、晒し乾し、再び、泡〔(あはだ)て〕し〔て〕、鹽に炒りて、拌〔(ま)〕ぜ、食ふ。或いは、醬〔(ひしほ)〕・醯〔(す)〕に拌ぜ、食ひ、生〔にて〕食ふ亦、可〔なり〕。』と、いへり。水澤に生ず。葉、厚くして、慈姑〔(くはい)〕に似たり。夏秋、紫碧〔(しへき)〕の花を開く。久しく堪ふ。愛すべし。和、俗に「水葵〔(みづあふひ)〕」とも、「澤桔梗〔(さはぎきやう)〕」とも云ふ。花色、桔梗に相ひ似たり。又、白花の者、有り。葉、圓〔(まろ)〕くして短かし。碧〔(みどり)〕の花の者とは異れり。

[やぶちゃん注:単子葉植物綱ツユクサ目ミズアオイ科ミズアオイ属ミズアオイ Monochoria korsakowii である。当該ウィキによれば、『ナギ(菜葱)、ミズナギという別名で呼ばれることもあるが、これは同属のコナギ』ミズアオイ属コナギ Monochoria vaginalis var. plantaginea 『の別名でもある』。『淡水に生える抽水植物。一年草。茎は横に這う根茎となって斜上し、葉が束生する。葉身は心形で長さ』五~二十センチメートル、『上部は鋭頭、縁は全縁、質は厚く光沢がある。葉柄は長さ』十~五十センチメートル『であるが、花柄の下部につく葉柄は短く』五~二十センチメートル『になる』。本邦では『北海道、本州、四国、九州に分布し、湖沼、水田、水路などに生育する。国外では東アジアに』広く『分布する』。本邦での花期は八~十月で、『花茎は高さ』三十~七十センチメートル『になり、葉より高く伸び』、十から二十『個以上の花をつける。花は一日花で、花序内に数花ずつ咲く。花被片は』六『個あり、片は楕円形で長さ』一・五~二センチメートル、『内花被片』三『片が』、『やや幅が広く、色は青紫色。雄蕊は』六『個あり、うち』五『個の葯は黄色で小型、残りの』一『個の葯は紫色で大型になる。子房は上位で』三『室、胚珠は多数あって中軸胎座につき、柱頭の先端は頭状になる。果実は卵状長楕円形の蒴果となり、長さは約』一センチメートル『で先に角状の花柱が残る。熟すと花茎が下に垂れる。種子は長さ』一~一・五ミリメートル『の楕円球形で、縦に』十『本以上の稜がある』。嘗ては『水田雑草としてよく見られたが、水路の改修や除草剤の使用などによって生育環境が悪化し、個体数が減少している』。『しかし、近年では』特定系統の『除草剤に対する抵抗性を持ったミズアオイやコナギが全国的に増加し、問題となっている』。『東日本大震災の津波によって被害を受けた沿岸域では、整備された農地などであった土地』に、『地盤の沈降や浸食によって』、『池や湿地が出現し、生育環境が悪化して姿を消していた植物が出現した例が報告されている。福島県、宮城県、岩手県の』三『県では、国の準絶滅危惧種であるミズアオイが復活した場所が』実に四十箇所『報告されている』。『万葉集では「水葱」(ミズアオイの別名)として求愛の歌に詠まれるなど、人間に親しまれてきた。また、青紫色の花は染物に利用されたほか、食用に供されることもある』。『食用にする場合は、若芽や若葉を塩ゆでにして流水によくさらし、汁物、煮物、和え物に用いる』とある。

『「三才圖繪」「草木十卷」にのせたり』「三才圖會」(普通はこちらの表記)は絵を主体とした明代の類書。一六〇七年に完成し、一六〇九年に出版された。王圻(おうき)とその次男王思義によって編纂されたもので、全百六巻。「其の圖にかける葉・花」とあり、本文も引用してあるので、この際、国立国会図書館デジタルコレクションの原本画像から当該部をトリミングして、以下に添えた。

 

Mizuaoi

 

「澤桔梗(なぎ)」これはルビがあるので問題ないが、実は「澤桔梗」だと、本邦の標準和名で、全くの別種で、本邦の湿地・湿原に通常は群生植生する、

双子葉植物綱キク亜綱キキョウ目キキョウ科ミゾカクシ属サワギキョウ Lobelia sessilifolia (花期は八月~九月頃で、美しい濃紫色の深く五裂した唇弁形の花を茎の上部に総状に咲かせる。但し、全草に強毒性のアルカロイドを持つ有毒植物であるので注意)

があり、また、困ったことに、湿地にも生え、群生することが多い、

双子葉植物綱リンドウ目リンドウ科リンドウ属ハルリンドウ Gentiana thunbergii (ごく小柄なリンドウで花茎の高さは十センチメートルほどで、先端に紫色の花をつける。花冠は長さ二~三センチメートルの漏斗状を呈し、朝、日光を受けると開花し、夕方に閉じる)の異名としてもあるので混同しないようにする必要がある。

「慈姑〔(くはい)〕」単子葉植物綱オモダカ目オモダカ科オモダカ属オモダカ品種クワイ Sagittaria trifolia 'Caerulea' 。私は似ているとは思えない。益軒に限らず、中国でも本邦でも本草家は安易にこうした相似性を言い過ぎる。一方が強毒・猛毒であったらどうするの! っていつも思うこと、頻り。

「白花の者、有り。葉、圓〔(まろ)〕くして短かし。碧〔(みどり)〕の花の者とは異れり」園芸サイトを調べると、白色の同種を発見できるが、どうも、ここで益軒が言っているのが別種の抽水植物臭いが、種は判らぬ。]

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