大和本草諸品圖上 山葵葉(わさび) (ワサビ)
山葵葉(ワサビ)
二月ニ開二細白花一ヲ
○やぶちゃんの書き下し文
山葵葉(ワサビ)
二月に細き白花を開く。
[やぶちゃん注:底本では15コマ目で、他の三図が「水族」ではないので、トリミングした。以上の通り、使用した国立国会図書館デジタルコレクションのそれでは、旧蔵者の朱点が入っている。
蔊菜【「小字通」。】
であろうが、この「小字通」という字書・辞書或いは類書は知らない。「蔊菜」は中文サイトのこちらに出現し、「六叶复叶」と標題し、学名を Moringa pterygosperma Gat. とする。先に言っておくと、この種は山葵とはなんの関係もない木本である。従って、この朱点者のそれは完全に無効である。これはウィキの「ワサビノキ」によれば、広く栽培されている食用植物で、民間や流通でもの属名のまま「モリンガ」で呼ばれることが多い、双子葉植物綱アブラナ目ワサビノキ科ワサビノキ属ワサビノキ Moringa oleifera のシノニムである。『インド北西部のヒマラヤ山脈南麓を原産とし、熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されている。栽培地域を中心に若い果実や葉が野菜として食される他、浄水や手洗いに用いられ、時に薬用植物とされる』。『属名のモリンガ(Moringa )はタミル語のムルンガイ(murungai、「捻じれた莢」の意)に由来する』。『種小名の oleiferaは「油を持つ」を意味し、搾油できる特徴による』。『ワサビノキは、成長が速い樹木であり、環境に応じて常緑性または落葉性を示す。成木は高さ』十~十二メートル、直径四十五センチメートルに『まで達する』。『樹皮は白みがかった灰色で、厚いコルク層に覆われている。若い芽は、紫や緑がかった白の毛むくじゃらの樹皮を持っている。樹冠は開けており、枝は脆く垂れやすく、葉は』三『回羽状複葉』とある。『日本においては沖縄県(沖縄本島、宮古島、石垣島等)、鹿児島県与論島、熊本県大矢野島等で限定的ながら』、『産業としての栽培が行われている』という。詳しくは引用元を参照されたい。
本図に戻る。日本固有種である、
双子葉植物綱ビワモドキ亜綱フウチョウソウ目アブラナ科ワサビ属ワサビ Eutrema japonicum
である。先般、やったばかりの『大和本草卷之五 草之一 蔬菜類 山葵(わさび) (ワサビ) / 幻の「ワサビ」の漢語「山萮菜」の古記載を発見した!』を参照されたい。]
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