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2021/05/20

「和漢三才圖會」巻第九十七「水草類」より「菰(まこも/はなかつみ)」

 

Makomo

 

まこも     茭草 蔣草

【音「孤」】 【和名「古毛」】

 はなかつみ  又云波奈加豆美

フウ

本綱菰生江湖陂澤水中葉如蒲葦輩刈以飼馬作薦春

末生白茅如筍謂之菰菜【又名茭白】生熟皆可啖甜美其中心

如小兒臂者謂菰手【又名蓮蔬】作菰首者非也其小者擘之

内有黒灰如墨者謂之鳥鬱人又食之其根又如蘆根而

[やぶちゃん注:「鳥」はママ。「烏」の誤字。訓読では訂した。]

相結而生久則并生浮於水上謂之菰葑刈去其葉便可

耕蒔又名葑田八月抽莖開花如葦結青子長寸許霜後

采之皮黑褐色其中子甚白滑膩是乃彫胡米也歲飢人

以當粮爲餅【甘冷】香脆【又出于殼類下】菰之種類皆極冷不可過

食之

 古今まこも苅淀の沢水雨ふれは常より殊に增さる我か戀貫之

 千載五月雨に淺かの沼の花かつみかつみるまに隱れ行哉顯仲

△按菰葉織薦卽稱古毛今多用稻藁織單薦又名古毛

 本出於菰薦也又用葉裹綜

烏鬱 用爲婦人黛甚良無之時用莖根燒灰亦佳又和

 油塗軟癤痕禿者能生毛髮

○やぶちゃんの書き下し文

まこも     茭草〔(かうさう)〕 蔣草〔(しやうさう)〕

【音「孤」。】 【和名「古毛〔(こmお)〕」。】

 はなかつみ  又、云ふ、「波奈加豆美」。

フウ

「本綱」に、『菰、江湖・陂澤〔(はたく)〕[やぶちゃん注:池沼の岸。]の水中に生ず。葉、蒲(がま)・葦(あし)の輩〔(うから)〕のごとし。刈りて、以つて、馬の飼〔(かひば)〕とし、〔また、〕薦(こもむしろ)に作〔(な)〕す。春の末に白〔き〕茅〔(ちがや)〕を生ず。筍〔(たけのこ)〕のごとし。之れを「菰菜〔(こさい)〕」と謂ふ。【又、「茭白〔(かうはく)〕」と名づく。】生〔(なま)にても〕熟〔しても〕、皆、啖〔(く)〕ふべし。甜〔(あま)〕く美なり。其の中心、小兒の臂〔(ひぢ)〕のごとくなる者、「菰手(こものて)」と謂ふ【又、「蘧蔬〔(きよそ)〕」と名づく。】「菰首」に作るは、非なり。其の小さき者、之れを擘(さ)けば、内に黒き灰〔の〕墨のごとき者、有り。之れを「烏鬱〔(ううつ)〕」と謂ふ。人、又、之れを食ふ。其の根、又、蘆(よし)の根のごとくにして、相ひ結びて生ず。久しきときは、則ち、并〔(あは)せ〕生じて、水上に浮かぶ。之れを「菰葑〔(こほう)〕」と謂ふ。其の葉を刈り去りて、便〔(すなは)ち〕、耕〔(たがや)し〕蒔くべし。又、「葑田〔(ほうでん)〕」と名づく。八月、莖を抽〔(ぬきんで)〕て、花を開くこと、葦のごとく、青〔き〕子〔(み)〕を結ぶ。長さ寸許り。霜の後、之れを采る。皮、黑褐色、其の中の子、甚だ白く、滑〔らかにして〕膩〔(つやや)か〕なり。是れ、乃(すなは)ち、「彫胡米〔(てうこべい)〕」なり。歲〔(とし)の〕飢うるときは、人、以つて粮に當つ。餅と爲〔せば〕【甘、冷。】香〔(かんば)し〕く、脆(もろ)し【又、「殼類」の下に出づ。】。菰の種類、皆、極冷なり。之れを食ふ〔こと〕過ぐるべからず。』〔と〕。

 「古今」まこも苅る淀の沢水雨ふれば

      常より殊に增さる我が戀貫之

 「千載」五月雨に淺かの沼の花かつみ

      かつみるまゝに隱れ行哉顯仲

△按ずるに、菰〔の〕葉、薦(むしろ)に織り、卽ち、「古毛〔(こも)〕」と稱す。今、多く、稻藁を用いて、單薦〔(ひとへのむしろ)〕を織るも、又、「古毛」と名づく。本(もと)、「菰薦」より出づればなり。又、葉を用いて、綜〔(ちまき)〕を裹〔(つつ)〕む。

烏鬱(こものすみ) 用いて、婦人の黛(まゆずみ)と爲す。甚だ良し。之れ、無き時は、莖・根を用いて灰に燒きても、亦、佳し。又、油を和し、軟--痕(はすねのあと)・禿(は)げたるに塗れば、能く、毛髮を生(はや)す。

[やぶちゃん注:挿絵は今まで通り、平凡社「東洋文庫」版のそれをトリミングして用いた。本篇は現在、「大和本草」で電子化注している「菰」の参考に附すために、急遽、電子化した。そちらで細かく注を施してあるので、こちらは和歌だけをあさあさと注することとする。そちらの注は期待を裏切らないだけの自信がある。

「まこも苅る淀の沢水雨ふれば常より殊に增さる我が戀」「古今和歌集」巻第十二「戀歌二」の紀貫之の一首(五八七番)、

 まこも苅る淀の澤水(さはみづ)雨ふれば

    常より殊(こと)に增(ま)さる我が戀

「まこも」の「ま」は美称の接頭語。「澤水」はここでは氾濫原の湿地のことで、その荒蕪地を、顧みられぬ自身に比喩したものであろう。

「五月雨に淺かの沼の花かつみかつみるまゝに隱れ行哉」「千載和歌集」巻第三「夏歌」の藤原顕仲の一首(一八〇番)だが、沼の名がおかしい。

   中院入道左大臣、中將に侍りける時、

   歌合(うたあはせ)し侍りけるに、

   五月雨(さみだれ)の歌とてよめる

 五月雨に淺澤沼(あさざはぬま)の花かつみ

    かつみるまゝに隱れ行くかな

である。「中院入道左大臣」は藤原(源)雅定。太政大臣源雅実の次男。彼が中将に補任されたのは、永久三(一一一五)年(右中将)で、保安三(一一二二)年に権中納言に昇格している。「淺澤沼」摂津の歌枕である住吉の浅沢沼。住吉大社の近くにあった沼。現在の同大社の摂社浅澤社附近(グーグル・マップ・データ)。なお、この「花かつみ」はマコモ説以外に花菖蒲とする説もあり、女の面影をそこに比喩するなら、花菖蒲の方が分がいい。]

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