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2021/05/21

大和本草卷之八 草之四 水草類 鷺草(さぎくさ) (サギソウ)

 

【和品】

鷺草 葉ハ澤瀉ニ似テ小ナリ背ニ角アリ又モヂズリノ葉

ニ似タリ七月白花ヲ開ク其形鷺ノ飛ニヨク似テ一足

垂タリ可愛慈姑ノ如ク小キ圓根アリ或曰濕草也

非水草山ニモ生ス

 

Kokuritudejikoresagikusa

 

Nakamuragakuensagigkusa

 

[やぶちゃん注:本文末下方配されてある図。最初に掲げたものは、国立国会図書館デジタルコレクションのこちらからトリミングしたものだが(補正をかけたり、清拭をすると、もっと汚くなるので諦めた)、筆致が薄く、しかも綴じ目によって右側が切れているため、別に、今回、初めて、底本の中村学園大学図書館蔵本画像「大和本草卷之八 草之四 水草類」PDF)の35コマ目の画像をスクリーン・ショットで撮り、トリミングしてその下に添えた。]

○やぶちゃんの書き下し文

【和品】

鷺草(〔さぎ〕くさ) 葉は澤瀉〔(おもだか)〕に似て、小なり。背に角〔(かど)〕あり。又、「もぢずり」の葉に似たり。七月、白花を開く。其の形、鷺の飛〔ぶ〕によく似て、一足、垂〔れ〕たり。愛すべし。慈姑〔(くはい)〕のごとく、小さき圓〔(まろ)き〕根、あり。或いは曰はく、「濕草なり。水草に非ず。山にも生ず。」〔と〕。

[やぶちゃん注:単子葉植物綱ラン目ラン科サギソウ属サギソウ Pecteilis radiata当該ウィキによれば、『の湿地性の多年草』で、ミズトンボ属 Habenaria に『分類されることもある』。シノニムは Habenaria radiata 。別名で「サギラン」とも呼ぶ。『茎は単立して高く伸び』、十五~五十センチメートルにも『達し』、『先端近くに』一~三『輪の白い花をつける』。『花期は』七~八月で、『花の径は』三センチメートル『ほどで』、『唇弁は大きく、深く』三『列し、中裂片は披針形、両側の側裂片は斜扇形で側方に開出てその縁は細かく裂ける』。『この唇弁の開いた様子がシラサギ』(白鷺とは鳥綱新顎上目ペリカン目サギ科 Ardeidae の中で、ほぼ全身が白いサギ類の総称通称であり、「シラサギ」という和名の種がいるわけではないので注意。私の和漢三才圖會第四十一 水禽類 鷺(総称としての「白鷺」)」の私の注を参照)『が翼を広げた様に似ていることが和名の由来である』。『側花弁は白色でゆがんだ卵形』。距(きょ:花冠の基部が後ろに飛び出たもの。スミレなどに特徴的にある)は三~四センチメートルの『長さに垂れ下がり、先端は次第に太くなり』、『この末端に蜜が溜まる。花の香りはほとんど無いが、稀に芳香を確認できる個体も混在する。有香個体には品種名がつけられているもの(「香貴」、「武蔵野」など)もある。しかし夜のほうが香りが強く、日中は微香になってしまう場合があることや、外見上は特徴のない普通のサギソウのため、有香品種を積極的に生産している業者はない』。二『個の葯室は平行し』、『各室に黄色い卵形の花粉塊が入る』。『苞は長さが』五ミリメートル『ほどで、卵状披針形』、三『枚の萼片は緑色で、背萼片が広卵形、両側の側萼片は長さ』八ミリメートル『ほどのゆがんだ卵形』を成す。『地下には太い根が少数つく。また』、『根によく似た太い地下茎が何本か伸び、この先端が芋状に肥大し』、『この部分だけが年を越す。翌年』、『その球根から地下茎を出す』。『茎の下部に』三、四『枚の根出葉がつき、その上部に少数の鱗片葉がつく』。『葉は互生し、下部のものほど大きく、長さ』は五~十センチメートル、幅は三~六ミリメートル『の細長い線形』である』。『この花は』蛾『による花粉媒介の送粉シンドローム』(pollination syndrome:受粉(送粉)様式に合わせて特化した花の特徴(形質群)を指す。一般的には動物媒花の送粉者の種類ごとに分類する。それらの形質には花の形・大きさ・色・受粉媒介行動への報酬(花蜜または花粉・それらの量や成分)及び受粉時期などが含まれる。これらの変異は類似した選択圧に対応した収斂進化の結果であり、送粉者と植物の共進化の産物である)『の特徴を示しており、距の長さに見合った長さの口吻を持つセスジスズメ』(鱗翅目スズメガ上科スズメガ科ホウジャク亜科コスズメ属セスジスズメ Theretra oldenlandiae oldenlandiae 『などのスズメガ科』Sphingidae『昆虫が飛来して吸蜜する。この時に花粉塊が複眼に粘着し、他の花に運ばれる。スズメガ科のガは飛翔力に富み、かなりの長距離を移動するので、山間に点在する湿地の個体群間でも遺伝子の交流が頻繁に起きていることが示唆されている』。『台湾、朝鮮半島、日本に分布する』。『日本では本州、四国、九州まで広く分布しているが』、『生育環境は低地の湿地に限定される。長野県では南部の伊那谷と木曽谷のみに自生地する』。『日当たりのよい湿地に生えるが、しばしば山野草として観賞用に栽培される』。『先述の地下茎の先端に形成される球茎によって栄養繁殖で年』二~三『倍程度に増殖できるため、生産業者が営利的に増殖して大量に市場供給している。園芸店には主に消費的栽培を前提とした花付きの鉢植えが流通するが、栽培経験者向けの未開花の苗や、一部は球根の状態でも販売される』。『そのように生産品の入手が容易であるにもかかわらず、保護されている自生地ですら』、『盗掘が絶えない。遠目にも目立つ開花期は、移植に最も不向きな時期であり、注意深く掘りあげなければ』、『枯れてしまう。金銭価値も乏しいことから』、『転売目的などで採集しているとは考えにくく、無計画な「お土産採集」「観光記念採集」が相当数あるものと推察される。 開発による自生地の減少に加えて、採集圧が加わるため、今では自生状態でみられる場所はきわめて限られる』。『本種は市販球根を』一『回開花させるだけなら』、『難しくはないが、植物ウイルスの感染による枯死がしばしば見られ』、『同一個体を長年にわたって健全な状態で維持栽培するのはベテラン栽培家でも容易ではない。種子によるウイルス未感染個体の生産や、交配選別育種などは一般家庭レベルだとかなり難しいが、無菌播種などの技術を使えば比較的容易である。しかし販売単価が安い花卉なので、営利的に成り立つのは栄養繁殖による生産のみである。そのため』、『実生生産品は研究施設などで実験的に生産される程度で、一般的にはほとんど流通していない』とある。

「澤瀉〔(おもだか)〕」単子葉植物綱オモダカ目オモダカ科オモダカ属オモダカ Sagittaria trifolia 。後で立項される。

「もぢずり」俗称の「ねじばな」(捩じ花)で知られる単子葉植物綱ラン目ラン科ネジバナ属ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena 。葉は柔らかく、厚みがあり、根出状に数枚つける。冬期は楕円形だが、生育期間中は細長く伸びる。

「慈姑〔(くはい)〕」単子葉植物綱オモダカ目オモダカ科オモダカ属オモダカ品種クワイ Sagittaria trifolia 'Caerulea' 。これは、本巻の「大倭本草巻之五 草之一」の「蔬菜類」に収録されてあり、そこには「山葵(わさび)」もあるので、本「大和本草卷之八 草之四」を終えた後に改めて抽出することとする。]

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