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2021/05/11

大和本草卷之八 草之四 水草類 蓴 (ジュンサイ)

 

蓴 倭名ヌナハ沼ノ中ニ生シ莖長ク乄繩ニ似タリ沼繩

ト云意ナルヘシ嵯峩ノ大澤ノ池伏見宇治ノ池沼又諸

州ノ池中ニ多シ今ノ俗ハ聲ヲ稱シテ蓴菜ト云是亦

菜ナリ可食葉ハ荇菜睡蓮ニ似テ少長ク乄不缺是

ヲ以爲異葉ハ水上ニ浮ヘリ莖ノメクリ冰ノ如ナル物ア

リ是ヲ賞トス煮テ羹トシ或酢味曾ニテ食フ性寒滑

脾胃虛冷ノ人不可食又發痔三月ヨリ八月ニ至テ

鹽ニツケテ冬堪ヘ遠ニ寄ス

○やぶちゃんの書き下し文(〈 〉は左ルビ)

蓴(ぬなは〈じゆんさい〉) 倭名、「ぬなは」。沼の中に生じ、莖、長くして、繩に似たり。「沼繩(ぬなは)」と云ふ意なるべし。嵯峩の「大澤の池」、伏見・宇治の池沼、又、諸州の池中に多し。今の俗は聲〔(せい)〕を稱して、「蓴菜(じゆんさい)」と云ふ。是れ、亦、菜なり。食ふべし。葉は荇菜〔(かうさい)〕・睡蓮に似て、少し長くして、缺けず。是れを以つて異と爲す。葉は水上に浮べり。莖のめぐり、冰〔ヒヨウ/こほり〕のごとくなる物、あり、是れを、賞とす。煮て、羹〔(あつもの)〕とし、或いは、酢味曾にて食ふ。性、寒、滑。脾胃の虛冷の人、食ふべからず。又、痔を發す。三月より八月に至りて、鹽につけて、冬、堪へ、遠くに寄す。

[やぶちゃん注:現行では一属一種の、私の好きな(見るのも、食べるのも。採取したことは残念なことにない。いつか採ってみたいな)、

スイレン目ハゴロモモ科ジュンサイ属ジュンサイ Brasenia schreberi

以下、当該ウィキによれば、スイレン(スイレン科:Nymphaeaceae)などと同様に、『水底に根を張り』、『水面に葉を浮かべる『多年生の水生』『浮葉植物であり、水上に花をつける』。『若い茎や葉は粘液質を分泌し、これで覆われた若芽を吸い物や酢の物の食材とする。水温が一定のきれいな池沼に生育し、栽培されている場合もある』。『ジュンサイの名は、漢名の「蓴(チュン)」がなまった「ジュン」に、食用草本を意味する「菜(サイ)」をつけたものに由来するとされる』。本邦では『古くは「ぬなは、ぬなわ」(「沼の縄」の意)と』呼ばれ、「古事記」や「万葉集」にも載る。『太い根茎は底泥中を横に』這い、『節から根と水中茎を伸ばす』。『根茎は越冬し、また』、『水中茎の先端の芽が養分を貯蔵して肥厚し、親植物から離脱し』、『越冬用の殖芽となる』。『水中茎は細長く、春になると』、『葉を互生する』。『葉は基本的に浮水葉であり、葉柄は紅紫色で長く』(長さ五センチメートルから一メートルにもなる)、『葉身の裏面中央付近につく』。『葉身は全縁で楕円形、長さ』五~十五センチメートル、幅三~八センチメートルで、『表面は艶のある緑色』を呈し、『裏面は紫色を帯びることが多い』。『葉脈は放射状』。『最初の数枚の葉は』、『水中にある沈水葉であり、長三角形から楕円形、小型』『で薄い』。『茎や葉柄、葉の裏面には』、『分泌毛が存在し、水中にある部分は』、『分泌された粘液質で覆われている』。本邦での『花期は』六~八月で、『葉腋から生じた花柄』(長さ四~十五センチメートル)の先端に、一つの『花をつけ、水面より上で開花する』。『花は基本的に』三『数性であり、放射相称の両性花、直径』一・五~二センチメートルほどで、『二日間』、『開花した後に、花は花被を閉じて』、『水中に没し、結実する』。『果実は袋果状の非裂開果であり、長さ』六~十五ミリメートルと小さい。『北米〜南米、東アジア〜南アジア、オーストラリア、アフリカの熱帯から温帯域に散在的に分布して』おり、『日本では北海道から琉球まで報告されているが』、『水域の富栄養化などにより減少し、既に絶滅した地域もある』とある。

『嵯峩の「大澤の池」』京都嵯峨野大覚寺の「大沢の池」(グーグル・マップ・データ)。

「諸州の池中に多し」現在、埼玉県・東京都・神奈川県・沖縄で絶滅。

「聲を稱して」「漢字の音の声(せい)を用いて」であろう。

「荇菜」既出既注

「睡蓮」既出既注。くれぐれも言っておく、種の和名は「ヒツジグサ」です!

「冰〔ヒヨウ/こほり〕」この漢字は氷が割れた様を象った象形文字で。「氷」が原義である。

「羹」スープ。

「酢味曾」ママ。酢味噌。

「脾胃」漢方では広く胃腸、消化器系を指す語である。

「痔を發す」「本草綱目」巻十九の「草之八」の「水草類」の「蓴」の項(冒頭の「釋名」には「茆」「水葵」「露葵」「馬蹄草」の異名を挙げ、時珍の説明で『「蓴」の字、本は蒓に作る。「純」に從ふ。「純」は乃(すなは)ち、「絲」の名なり。其の莖、之れに似る故なり』とある)の「氣味」の条に(囲み字を太字に代えた)、

   *

氣味甘、寒。毒、無し【藏器曰はく、「蓴、水草なりと雖も、性、熱を擁(たす)く。」と、詵日はく、「蓴、冷と雖も、熱を補す。食ふ及んで多く食へば、亦、氣を擁けて下さず。甚だ人の胃及び齒を損ず。人をして、顔色を惡くせしめ、毛髮を損ぜしむ。醋に和して食ふときは、人をして骨痿[やぶちゃん注:「こつい」。腎痿とも言う。下肢の筋力低下・運動麻痺を主症状とする。]李廷飛曰はく、多く食すれば、性、滑にして、痔を發す。七月、蟲、有り、上に著く。之れを食へば、人をして霍亂(かくらん)せしむ。」と。】。

   *

とある最後の部分に基づく。いやぁ、でも、幾ら食べても、俺は痔なんか起こさねえと思うぜ? 因みに、現在の中国語(繁体字で表記した)ではジュンサイ(蓴菜)は「蒓」「蒓菜」「水葵」である。附着する虫から霍乱ってのも、眉唾物だね!]

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