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2021/05/05

大和本草卷之八 草之四 水草類 芡蓮(をにはす) (オニバス)

 

芡蓮 葉ハ蓮ニ似テ大ニシテ葉水上ニウカビ皺アリハリア

リ實ハ莖上ニアリ苞ノ形雞頭ノ如シ故ニ雞頭實ト云苞

アリテツヽメリ其内ニ實數十顆アリマルシ實ノ内白クシ

テ抹スレハ米粉ノ如ク味モ亦甘美ナリ藥トシ食トス毒

ナク性ヨシ凶飢ヲ助ク池塘ニ多クウフヘシ莖ノ内ニアナア

リ絲アリワカキ時皮ヲ去テ食フヘシ根ハ煮テ食フ芋ノ如

○やぶちゃんの書き下し文(〈 〉は左ルビ)

芡蓮(みづぶき〈をにはす〉) 葉は蓮に似て、大にして、葉、水上にうかび、皺(しは)あり。はり、あり。實〔(み)〕は莖〔の〕上にあり。苞〔(はう)〕の形、雞頭のごとし。故に「雞頭實〔けいとうじつ〕」と云ふ。苞ありて、つゞめり。其の内に、實、數十顆あり、まるし。實の内、白くして、抹〔(まつ)〕すれば、米粉〔(こめこ)〕のごとく、味も亦、甘美なり。藥とし、食とす。毒なく、性、よし。凶飢〔(きようき)〕を助く。池塘に、多く、うふべし。莖の内に、あな、あり。絲あり。わかき時、皮を去りて、食ふべし。根は煮て食ふ。芋のごとし。

[やぶちゃん注:双子葉植物綱スイレン(睡蓮)目スイレン科オニバス(鬼蓮)属オニバス Euryale ferox 。一属一種。別名「ミズブキ」(水蕗)。当該ウィキによれば、『アジア原産で、現在ではアジア東部とインドに見られる』。『日本では本州、四国、九州の湖沼や河川に生息していたが、環境改変にともなう減少が著し』く、嘗て『宮城県が日本での北限だったが』、『絶滅してしまい、現在では新潟県新潟市北区松浜に位置する松浜の池が北限』『となっている』。『ハスと名が付くが』、『分類上はハス科ではなく』、『スイレン科に属する』。『葉が大型で葉や葉柄に大きなトゲが生えていることから「オニ」の名が付けられている』。『特に葉の表裏に生えるトゲは硬く鋭い。葉の表面には不規則なシワが入っており、ハスやスイレン等と見分けることができる。また、ハスと違って葉が水面より高く出ることはなく、地下茎(レンコン)もない』。『春ごろに水底の種が発芽し、矢じり型の葉が水中に現れる。茎は塊状で短く、葉は水底近くから水面へと次々に伸びていき、成長するにつれて形も細長いハート型から円形へ変わっていく。円形の葉は、丸くシワだらけの折り畳まれた姿で水面に顔を出し広がる。円形葉の大きさは直径』三十センチメートルから二メートル程と『巨大で』、一九一一年には『富山県氷見市で直径』二メートル六十七センチメートルもの『葉が見つかっている』。『花は水中での閉鎖花が多く、自家受粉で』百『個程度の種子をつくる。種子はハスと違って球形で』、『直径』一センチメートル程。八月から九月頃、『葉を突き破って花茎を伸ばし、紫色の花(開放花)を咲かせることもある。種子はやがて水底に沈むが、全てが翌年に発芽するとは限らず、数年から数十年』も『休眠してから発芽することが知られている。また冬季に水が干上がって種子が直接空気にふれる等の刺激が加わることで発芽が促されることも知られており、そのために自生地の状態によってはオニバスが多数見られる年と』、『見られない年ができることがある』。『農家にとってオニバスは、しばしば排除の対象になることがある。ジュンサイ』(スイレン目ハゴロモモ科ジュンサイ属ジュンサイ Brasenia schreberi )『などの水草を採取したりなど、池で農作業を行う場合、巨大な葉を持つオニバスは邪魔でしかないうえ、鋭いトゲが全体に生えているために嫌われる羽目になる。また、オニバスの葉が水面を覆い』、『水中が酸欠状態になったため、魚が死んで異臭を放つようになり、周囲の住民から苦情が出たという話もある』。『水が少ない地域に作られるため池では水位の低下は死活問題に直結するが、オニバスの巨大な葉は水を蒸散させてしまうとされて歓迎されないこともあった』。『葉柄や種子を食用としている地域もある』。『種子は芡実(けつじつ)とも呼ばれ、漢方薬として用いられている』。『日本では、環境の悪化や埋め立てなどで全国的に自生地の消滅が相次ぎ』、『絶滅が危惧されており、オニバスを含めた環境保全運動も起きている。ため池に関しても』、『減反や水事情の改善によって以前よりも必要性が薄れており、管理している水利組合等との話し合いによって保全活動が行われているところもある』。『氷見市の「十二町潟オニバス発生地」は』大正一二(一九二三)年に『国の天然記念物に指定され』、『保護されてきたが、後に指定範囲での自生は見られなくなっており、現在は再生の取り組みが行われている』。『このほか、各地の自治体によって天然記念物指定を受ける自生地も多い。環境省レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されている』。僕らの子ども時代の図鑑の定番挿絵であった『子供を乗せた写真で知られるオニバスに似た植物は、南米原産のオオオニバス』は同じスイレン科 Nymphaeaceae のオオオニバス属オオオニバス Victoria amazonicaであり、オニバスとは別種である。「三重県」公式サイト内の「紙上博物館」「絶滅の危機にひんする弱きオニ」も見られたい。学名のグーグル画像検索もリンクさせておく。

「雞頭」ナデシコ目ヒユ科ケイトウ属ケイトウ Celosia argentea 。オニバスの花が咲き始めの頃の実、苞と先に開いた花弁の鮮やかな紫紅色が似ていると言えば、似ている。サイト「島根とその周辺の野生植物」のこちらに素敵な大きな画像があるので、是非、見られたい。

「つゞめり」「約(つづ)めり」。短く縮まっている。コンパクトに纏まっている。

「凶飢〔(きようき)〕を助く」救荒植物であると益軒は言っているのである。それが絶滅しかけている。皮肉な話ではないか。

「うふべし」表記は「植うべし」が正しい。]

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