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2021/05/11

大和本草卷之八 草之四 水草類 河薀(かはもづく) (カワモヅク)

 

【和品】

河薀 處々小流ニアリ海薀ニ似テ其色靑ク糸ヲツカ子

タルカ如クニシテウルハシ羹トシ或酢ニテ食ス味ヨシ但

小瘡ヲ發シ身ヲ痒カラシム病人及有瘡人食スヘカラス

北ニ向テ流ルヽ小河ニアリ他方ニ向テ流ルヽ川ニハナシト

云漢名未詳凡水苔ノ類ノ中ニ蛭蠆ナト毒虫ノ子ア

リ食之則吐血而死スヨク擇フヘシ妄ニ食フヘカラス

○やぶちゃんの書き下し文

【和品】

河薀(かはもづく) 處々〔の〕小流れにあり。海薀〔(もづく)〕に似て、其の色、靑く、糸をつかねたるがごとくにして、うるはし。羹〔(あつもの)〕とし、或いは、酢にて食す。味、よし。但し、小瘡〔(しやうさう)〕を發し、身を痒〔(かゆ)〕からしむ。病人及び瘡〔(かさ)〕有る人、食すべからず。北に向きて流るゝ小河にあり、他方に向きて流るゝ川には、なし、と云ふ。漢名、未だ詳らかならず。凡そ、水苔〔(みづのり)〕の類の中に、蛭〔(ひる)〕・蠆〔(タイ)〕など、毒虫の子、あり。之れを食へば、則ち、血を吐きて死す。よく擇〔(えら)〕ぶべし。妄〔(みだ)〕りに食ふべからず。

[やぶちゃん注:紅藻植物門真正紅藻亜門真正紅藻綱ウミゾウメン亜綱カワモズクカワモズク科カワモズク属カワモヅク Batrachospermum gelatinosum 。海藻類でしばしばお世話になっている鈴木雅大氏のサイト「生きもの好きの語る自然誌」の「カワモズク」によれば(写真多数有り)、漢字表記は「川水雲」「川藻付」とされ(コンマを読点に代えた)、『カワモズクの仲間は、里山や湧水で見られる代表的な淡水紅藻類です。身近な生き物、かつ稀少な生き物として紹介される事が多いのですが、種同定が難解な上、分類そのものが混乱しているグループです』とある。なお、 微生物系統保存施設「国立環境研究所」公式サイト内の「絶滅が危惧される淡水産紅藻(および褐藻)-解説・形態・分布」のこちらのページを見ると、近縁種が複数載り、本種についてはここにあり、「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」として、『藻体は雌雄同株、 輪生枝は融合し、 時々』、『球形、 樽形』とし、『分布』を『欧州、東アジア、豪州、南米、北米:米国に分布する。日本各地に分布するが、消滅する地点が著しく、残る地点でも僅かに生息するのみである』とある。

「海薀〔(もづく)〕」標準和名種は不等毛植物門褐藻綱ナガマツモ目モズク科モズク属モズク Nemacystus decipiens 。私が強い拘りを持つ海藻である。その辺りは、「大和本草卷之八 草之四 海薀(モヅク)」の私の注を読まれたい。

「つかねたる」「つかねる」は「束(つか)ねる」で、「集めて一つに括(くく)る・束ねる」の意。

「羹」スープ。

「小瘡」皮膚の発疹。

「瘡」皮膚のできものや腫れ物。

「北に向きて流るゝ小河にあり、他方に向きて流るゝ川には、なし、と云ふ」全く信じ難いし、真面目に検討する気も起らない。

「漢名、未だ詳らかならず」モズクの学名や、カワモズク目 Batrachospermales 及びカワモズク科 Batrachospermaceae などを用いて、中国語を設定して検索を掛けたが、掛かってこないから、中国にはカワモズク類は棲息しない可能性が高いか。但し、先の鈴木氏の解説の中に、同種がスペイン・イギリス・フランス・アメリカ・カナダに棲息していることが記されてあり、中国にいても不思議ではないようにも思うのだが、「国立環境研究所」のデータにも中国は挙がっていない。

「水苔」淡水産の水草或いは藻のことであろう。

「蠆〔(タイ)〕」当初、「やご」と読もうと思ったが、やめた。この漢字は第一義はサソリを指すのだが、本邦にはいないので、そうは読めない。第二義にトンボの幼虫とあるので、そう読もうと思ったが、ヤゴを食って血を吐いて死んだという話は流石に聴いたことがないからやめた。ただ、この漢字には「棘」の意があり、また、調べると、サソリ以外にハチを指す場合もあるようだ。実際に本草書の中で刺す毒虫の意で使用されているのを見たことがある。されば、「さしむし」(刺し虫)と読もうかと思ったが、ちょっとおかしいので音にした。他に音には「タツ・タチ・チ・ヂ」がある。]

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