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2021/05/05

大和本草卷之八 草之四 水草類 蓮 (ハス)

 

  水草類

蓮 諸家ノ本草ニ蓮肉ノ性甚好コトヲホメタリ心脾ヲ補

フ今按ニ淸心寧神補中強志補虛益損ノ能アリ凡

蓮ハ一物ノ内用ル處多シ實ハ卽蓮肉ナリ又コレヲ菂ト

云實ノ内ノ靑芽ヲ薏ト云味苦シ蓮花蓮蕋ヲモ用ユ

蕋トハ花心ノシベナリ藕ハ蓮根ナリ藕節ヲモ用ユ葉ヲハ

荷葉ト云蓮鼻ハ蔕也蓮房ハ實ノマハリノ房ナリ凡草木ノ中一物ニテ

花葉根莖子等數品ヲ用ル事多キハ蓮ヲ第一トスヘシ

其花紅アリ白アリ紅白一處ニ植レハ白ハ枯ル近年

世上ニ唐蓮多ク植フ品多シ○居家必用十一卷水

芝湯ノ方アリ蓮肉ヲ極テ炒燥カシ一斤粉草一兩微

炒右爲細末毎二匁入鹽少許沸湯㸃服此湯夜

坐過饑氣乏則飮一盞大能補虛助氣日本ニテハ

甘草ヲ蓮肉ノ二十分一加フヘシ良方也○蓮根ヲ煮ル

ニ鐡器ヲイム銅器ヲ可用醋ヲ少加ヘテニレハ黑色ニ變

セス生藕ヲツキクタキ汁ヲ取リ水飛シ陰乾ニシ餻餌ト

ス○石蓮子トハ本草蘓頌曰其菂至秋黑而沉水

爲石蓮子時珍曰石蓮刴去黑殻謂之蓮肉今藥

肆一種石蓮子狀如土石而味苦不知何物也又

曰嫩菂性平石蓮性溫○按本草石蓮肉蓮子至

秋黑堅如石ナルヲ云別一種アルニ非ス薛立齋本草

約言及李中梓カ藥性解ニ蓮肉ト別物トス誤ナルヘシ

別ニ石蓮子ト稱スルハ不可用○許彥周詩話云荷

葉無花時亦自香ト今試之然リ蓮池ニ立ル葉ノ香モ

花ト同○唐蓮ノウヘヤウ花譜ニ詳ニス

○やぶちゃんの書き下し文

  水草類

蓮 諸家の本草に、蓮肉〔(れんにく)〕の性〔(せい)〕、甚だ好〔(よ)〕きことを、ほめたり。心脾〔(しんぴ)〕を補ふ。今、按ずるに、心を淸〔(きよ)くし〕、神を寧〔(やすん)じ〕、中〔(ちゆう)〕を補〔し〕、志を強〔くし〕、虛を補〔し〕、損を益〔する〕の能〔(のう)〕あり。凡そ、蓮は、一物〔(いちぶつ)〕の内、用ゆる處、多し。實(み)は、卽ち、蓮肉なり。又、これを「菂〔(てき)〕」と云ふ。實の内の靑芽を「薏〔(い)〕」と云ふ。味、苦し。蓮花・蓮蕋(〔れん〕ずい)をも用ゆ。「蕋」とは、花の心〔(しん)〕の「しべ」なり。「藕(ぐう)」は蓮根なり。「藕節」をも用ゆ。葉をば、「荷葉〔(かしやう)〕」と云ふ。「蓮鼻」は蔕〔(へた)〕なり。「蓮房」は實(み)のまはりの房〔(ばう)〕なり。凡そ、草木の中〔(うち)〕、一物にて、花・葉・根・莖・子〔(み)〕等、數品〔(すひん)〕を用ゆる事多きは、蓮を第一とすべし。其の花、紅あり、白あり、紅白一處に植うれば、白は枯〔(か)る〕る。近年、世上に「唐蓮〔(とうれん/からばす)〕」多く植ふ。品〔(ひん)〕、多し。

○「居家必用」十一卷、「水芝湯〔(すいしたう)〕」の方あり。蓮肉を極めて炒〔り〕燥〔(かは)〕かし、一斤に粉草一兩、微〔(わづか)に〕炒〔り〕、右、細末と爲し、毎二匁〔に〕、鹽、少し許り入れ、沸湯に㸃〔じ〕、服す。此の湯、夜坐〔(やざ)〕、饑〔え〕過〔ぐして〕、氣、乏〔(とぼ)しければ〕、則ち、一盞〔(いつせん)〕を飮〔めば〕、大きに能く虛を補し、氣を助く。日本にては、甘草を蓮肉の二十分〔の〕一、加ふべし。良方なり。

○蓮根を煮るに、鐡器を、いむ。銅器を用ゆべし。醋〔(す)〕を少し加へてにれば、黑色に變ぜず。「生藕」を、つきくだき、汁を取り、水〔を〕飛ばし、陰乾しにし、餻餌(もちだんご)とす。

○「石蓮子」とは、「本草」〔に〕、『蘓頌曰、「其れ、菂、秋に至り黑くして、水に沉〔(しづ)〕み、石蓮子と爲る。」〔と。』と〕。『時珍曰、「石蓮、黑殻を刴〔(き)り〕去り、之れを、『蓮肉』と謂ふ。今、藥肆に〔て〕一種、『石蓮子』〔とは〕、狀〔(かたち)〕、土石のごとくにして、味、苦し。何物なるかを知ざるなり。」〔と〕。又、曰はく、『「嫩菂〔なんてき/(わか)き(はすのみ)〕」の性、平。「石蓮」の性、溫。』〔と〕。

○按ずるに、「本草」に、『石蓮肉は蓮子の秋に至り、黑〔く〕堅〔くなりて〕石のごとくなる』を云ひ、別に一種あるに非ず。「薛立齋本草約言〔(せつりつさいほんざうやくげん)〕」、及び、李中梓〔(りちゆうし)〕が「藥性解」に、蓮肉と別物とす〔るは〕、誤りなるべし。別に石蓮子と稱するは、用ゆべからず。

○許彥周〔(きよげんしう)〕が「詩話」に云はく、『荷葉、花、無き時、亦、自〔(おのづか)〕ら香る』と。今、試〔みる〕に、之れ、然り。蓮池に立てる葉の香りも、花と同じ。

○「唐蓮」の、うへやう、「花譜」に詳かにす。

[やぶちゃん注:心おきなく、最後の「諸品圖」に入れると思ったところが、本巻の「水草類」の部が未翻刻であることに気づいた。後に続く「海草類」を終わっていたので、うっかりしていた。立ち戻って翻刻する。「大和本草卷之八 草之四 水草類」は底本の中村学園大学図書館蔵本画像PDF)の27コマ目からである。但し、この「水草類」には、見るに、「毛茛(キンポウゲ)」や「荻(ヲギ)」などの、私の知見からすれば、狭義の水生植物とは到底言い得ない種や湿生地植物が含まれている。それらを排除してもよいのだが、それらを識別して除去するのが面倒であるから(私は植物は守備範囲ではなく、正確に気持ちよく除外することが難しい種が含まれている)、この際、「水草類」全部を翻刻注することにした(またまた終わりが遠退いたが)。

 さても。

被子植物門双子葉植物綱ヤマモガシ(山茂樫)目ハス科ハス属ハス Nelumbo nucifera

である。

「蓮肉〔(れんにく)〕」ハスの種子の生薬名。アルカロイド・澱粉・蛋白質・脂肪などを含む。

「心脾〔(しんぴ)〕」漢方用語。血を全身に巡らせる働きを持つ「心」(心臓と循環器系相当)と、消化吸収を掌って気・血を生成する「脾」(漢方独特の機能用語で脾臓とは無関係)の両方の機能を指す。これらがともに病的に機能低下することを「心脾両虚」(心脾気血両虚・心血虚と脾気虚)と称する。

「神」神経系相当か。

「中〔(ちゆう)〕」消化器系(胃腸)相当。

「志」精神系相当。

「菂〔(てき)〕」中国語の文語で「蓮の実」を意味する。

「薏〔(い)〕」漢語の第一義は「薏苡」(ヨクイ)で「ハトムギ」や「ジュズダマ」を指すが、第二義で「蓮の実の中心の胚芽」を指す。

『蓮花・蓮蕋(〔れん〕ずい)をも用ゆ。「蕋」とは、花の心〔(しん)〕の「しべ」なり』と細分して区別しているが、多くの漢籍や「和漢三才図会」でも「蓮蕋」(=蓮蘂・蓮蕊)は「蓮花」と同義である。

「藕(ぐう)」現代中国語でも「レンコン」を「蓮藕」と書く。但し、改良品種によって、食用のレンコンを採る系統と花を愛でる系統とは、かなり隔たりがあるらしい。

「藕節」漢方サイトでもこれは同じくレンコンである。敢えて言うなら、蓮根の節の部分ということになるが、そんな区別は少なくとも現行の漢方ではしていないようである。

『「蓮鼻」は蔕〔(へた)〕なり』蓮の花の付け根の、一番、外側にある苞(ほう)のことであろう。その内側は花被(広義の花弁)となってしまうからである。

「蓮房」凝っと見ていると私なぞはちょっと気味が悪くなる、蓮の花托(果実を包む穴の空いたように見える独特の部位)を指す。この「房」とは「ふさ」ではなく、「室・部屋」の意である。

「紅白一處に植うれば、白は枯〔(か)る〕る」不審。こういう事実は、一応、調べてはみたが、ネット上には見当たらない。

「唐蓮〔(とうれん/からばす)〕」比較的、後になって中国から移入された蓮を、かく呼ぶ。

「品〔(ひん)〕」品種。

「居家必用」正しくは「居家必要事類全集」で、元代の日用類書(百科事典)。撰者不詳。なお、その内容は当たり前のことだが、モンゴル式である。

「一斤」元代のそれは五百九十七グラム弱。

「粉草」不詳。元代のそれであり、軽々に比定出来ない。

「一兩」同前で三十七グラム強。

「二匁」「匁」は本邦独自の質量単位で「おかしいな」と思って、原本を見たところ、「匁」ではなく「錢」であった(「中國哲學書電子化計劃」)。「二錢」は元代で七・四六グラムである。まあ、「二匁」は七・五グラムだから、だいじょうぶだぁ。

「夜坐〔(やざ)〕」は本来「夜に寝ないで座っていること」であるが、不眠症を指すか。

「饑〔え〕過〔ぐして〕、氣、乏〔(とぼ)しければ〕」どうも意味が繋がらない。不眠症に加えて、異常な空腹感と気力減衰が合併して起こるということか?

「一盞〔(いつせん)〕」小さな盃(さかずき)一杯。

「甘草」マメ目マメ科マメ亜科カンゾウ属 Glycyrrhiza当該ウィキによれば、『漢方薬に広範囲にわたって用いられる生薬であり、日本国内で発売されている漢方薬の約』七『割に用いられている』とある。

「二十分〔の〕一」今までの「大和本草」の水族の部の中で分数が示されたのは初めてである。

「蓮根を煮るに、鐡器を、いむ。銅器を用ゆべし。醋〔(す)〕を少し加へてにれば、黑色に變ぜず」「いむ」は「忌む」。完全に正しい。蓮根にはポリフェノール(polyphenol)の一種であるタンニン(tannin)が含まれており、これは鉄と結びつくと、黒く変色してしまう。「コープ」の「食品検査センター」のこちらを参照。そこに『切ったり』、『皮を剥いたりすると』、『これを酸化する酵素であるポリフェノールオキシターゼ』(polyphenol oxidase)『によって酸化されて、褐変がおこりやすくなります。切ったら、水または、酢につけるとこの酵素の作用を防ぐことができます』とある。

 

「生藕」なまの蓮根。

『「石蓮子」とは、「本草」〔に〕……』「本草綱目」の巻三十三の「果之五」の「蓮藕」(注意されたいが、この標題自体は「蓮の種」ではなく、「蓮の根」である)の「集解」に(長いので、訓読のみを示す。国立国会図書館デジタルコレクションの風月莊左衞門寛文九(一六六九)年板の訓点(左頁から次の頁にかけて)を参考にしたが、一部は従っていない。囲み字は太字に代えた)、

   *

集解「别録」に曰はく、『藕實莖、汝南の池澤に生ず。八月に采(と)る。』と。當之曰はく、『在る所、池澤、皆、有り。豫章・汝南の者、良なり。苗の高さ、五、六尺。葉は團(まる)く、靑くして、大いさ、扇のごとし。其の花、赤。子(み)、黑くして、羊矢[やぶちゃん注:意味不明。]のごとし。』と。時珍曰はく、『蓮藕、荆・揚・豫・益、諸處の湖澤・陂池、皆、之れ、有り。蓮子を以つて種(う)うる者は生ずること、遲く、藕芽を種うる者は最も發し易し。其の芽、泥を穿ち、白蒻(はくじやく)[やぶちゃん注:白い芽。]を成す。卽ち、「蔤(みつ/はちすのはひ)」[やぶちゃん注:蓮根。]なり。長き者、丈餘に至る。五、六月、嫩(わかば)の時、水に没して、之れを取る。蔬に作るべし。茹でて、俗に「藕絲菜」と呼ぶ。節、二莖を生ず。一は藕荷と爲(な)り、其の葉、水に貼る。其の下は旁行して藕を生ず。一つは、芰荷(きか)[やぶちゃん注:花を咲かすもの。]と爲り、其の葉、水に出でて、其の旁莖、花を生ず。其の葉、淸明[やぶちゃん注:陰暦三月の春分の後の十五日目。]の後に生じ、六、七月、花を開く。花、紅・白・粉紅[やぶちゃん注:薄い紅色。]の三色、有り。花の心、黃鬚、有り、蕋の長さ、寸餘。鬚内、卽ち、蓮なり。花、褪せて、房を連ねて、菂を成す。菂は房に在りて、蜂の子、窠(す)に在るの狀のごとし。六、七月、嫩き者を采りて、生にて食す。脆美なり。秋に至りて、房、枯れ、子(み)、黑くして、其の堅きこと石のごとし。之れを「石蓮子」と謂ふ。八、九月、之れを收めて、黑き殻を斫(き)り去り、之れを四方に貨(う)る。之れを「蓮肉」と謂ふ。冬月より春に至りて、藕を掘りて、之れを食ふ。藕は白くして、孔(あな)有り、絲、有り。大なる者は肱臂(ひじ)のごとく、長さ、六、七尺。凡そ、五、六節にて、大抵、野生す。及び、紅き花の者の蓮は、多く、藕。劣れり。種植え及び白き花の者の蓮は、少なく、藕は佳なり。其の花の白き者は、香(かんば)し。紅なる者、艶なり。千葉の者は、實を結ばず。别に、合ひ歡びて頭を並ぶる者、有り。夜舒荷、有り、夜、布(し)き、晝、卷く。睡蓮花、夜、水に入る。金蓮花、黃なり。碧蓮花、碧なり。繡蓮花、繡(ぬひとり)のごとし。皆、是れ、異種なり。故に述べず。「相感志」に云はく、『荷梗、穴を塞ぎて、鼠、自(おのづか)ら、去る。煎湯にて鑞垢を洗ふ。自ら、新たなり。物性、然り。』と[やぶちゃん注:後半部はハスではない水草に言及し、最後の「相感志」の奇体な謂いは意味不明である。]。】

蓮實釋名藕實【「本經」。】・菂【「爾雅」。】・薂【音「吸」。同上。】・石蓮子【「别錄」。】・水芝【「本經」。】・澤芝【「古今注」。】

修治景曰はく、「藕實、卽ち、蓮子なり。八、九月、黑く堅きを采りて、石のごとき者を乾し、摶(う)ちて、之れを破る。」と。頌(しよう)曰はく、「其れ、菂、秋に至りて、黑くして、水に沈みて、石蓮子と爲る。磨して飯と爲して食ふべし。」と。時珍曰はく、「石蓮、黑き殻を刴〔(き)り〕去り、之れを、『蓮肉』と謂ふ。水を以つて浸して、赤き皮を去り、靑き心を生(なま)にて食ひて、甚だ佳なり。藥に入るるに、須らく、蒸し熟して心を去るべし。或いは晒し、或いは焙(あぶ)り乾して用ゆ。亦、每一斤、豶豬肚(ふんちよと)[やぶちゃん注:イノシシの胆嚢であろう。]一箇を用いて、盛り貯へ、煮熟(にじゆく)し、搗き焙りて、用ゆる者、有り。今、藥肆の一種に、「石蓮子」とて、狀(かたち)、土石のごとくにして、味、苦きは、何の物といふことを知らざるなり。」と。】氣味甘にして平、濇(とどこほ)る。毒、無し。【「别錄」に曰はく、『寒』と。大明(だいめい)曰はく、「蓮子・石蓮、性、俱、溫。」と。時珍曰はく、「嫩菂、性、平。石蓮、性溫。茯苓・山藥・白术・枸杞子を得て、良なり。」と。詵(せん)曰はく、「生にて食すること、過多すれば、微(すこ)しく、冷氣を動かし、人を脹(は)らす。蒸し食ひて、甚だ良なり。大便の燥(かは)きて濇(とどこほ)る者、食ふべからず。」と。】

   *

これ当初は危ぶんだが、訓読して見ると、結構、意味が判る。なお、時珍が、かく不審を以って言っている、最後の昨今の薬種屋にある怪しげな「石蓮子」というのは、とんでもないマガイモノである可能性が濃厚な感じである。益軒が「別に石蓮子と稱するは、用ゆべからず」という注意書きも、そうした疑わしいものが、当時の本邦の薬種問屋にもあったことを意味していることに注意したい。

「蘓頌」既出既注だが、再掲しておく。宋代の科学者にして博物学者蘇頌(一〇二〇年~一一〇一年)。一〇六二年に刊行された勅撰本草書「図経本草」の作者で、儀象台という時計台兼天体観察装置を作ったことでも知られる。

「薛立齋本草約言」明の医学者薛立斎になる「藥性本草約言」。中文サイトの電子化を見ると、確かに「藕實(即蓮子也)」の項の後に、「石蓮子」を別に立項してある。

『李中梓が「藥性解」』明の医学者李中梓(りちゅうし 一五八八年~一六五五年)編になる「雷公炮製藥性解」(らいこうほうせいやくせいかい)。

『許彥周〔(きよげんしう)〕が「詩話」」宋の詩人許顗(きょがい)の「許彥周詩話」。「中國哲學書電子化計劃」で影印を見つけた。後ろから三行目。

「『荷葉、花、無き時、亦、自〔(おのづか)〕ら香る』と。今、試〔みる〕に、之れ、然り。蓮池に立てる葉の香りも、花と同じ」ああっつ! 私も試してみたい!!!

「うへやう」「植え樣」。

「花譜」益軒のそれであろうが、予定していて、書き忘れたのか、ないようである。「菜譜」(中村学園大学図書館蔵本画像(PDF)の29コマ目)に「蓮藕(はすのね)」はあるが、「唐蓮」の植え方ではないから、違う。]

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