大和本草卷之八 草之四 水草類 水藻 (淡水産水藻・水草類)
【和品】
水藻 類亦多シカルモアリ杉藻アリ松藻アリ
○やぶちゃんの書き下し文
【和品】
水藻 類、亦、多し。「かるも」あり、「杉藻」あり、「松藻」あり。
[やぶちゃん注:淡水産藻類。
「かるも」は「苅藻」であろうが、この名は現行では確認出来ない。或いは、以下と並置されるとなら、緑色植物亜界シャジクモ(車軸藻)植物門シャジクモ綱シャジクモ目シャジクモ科シャジクモ連シャジクモ属シャジクモ Chara braunii 或いはシャジクモ科 Characeaeの淡水藻類か。日本全土の湖・池・水田などに生育し、体はスギナ(トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属スギナ Equisetum arvense :土筆の本草体に似て、多数の節を持つ主軸と、節部から車輪状に出る小枝を有する。生殖は精子と卵による有性生殖のほか、無性生殖として、根部の伸長による繁殖などがある。造卵器の冠細胞は五個。シャジクモはシャジクモ属の中では、最も普通に見られ、室内培養が容易であり、皮層がないため、「生物」の授業で「原形質流動」の観察によく用いられる(以上は平凡社「百科事典マイペディア」に拠った)。
「杉藻」双子葉植物綱シソ目オオバコ科アワゴケ連スギナモ属スギナモ Hippuris vulgaris であろう。「杉菜藻」である。当該ウィキによれば、お馴染みの『シダ植物門のスギナに類似した形態をもつが、スギナモは被子植物であり、分類学的には全く異なる』。『ヨーロッパ、ユーラシア大陸、北アメリカなどに分布』。『葉の形状を変化させて、水中と陸上で異なった形態をとって生育することが可能である』。『水中では薄くて面積が広く、気孔を持たない沈水葉となり、陸上では分厚くて面積が小さく、多くの気孔を持つ陸生葉となる』。『茎は最大』六十センチメートル『程度まで伸長する』。『水深の深いところでも生育可能であり、透明度の高い湖沼では』実に『水深』六メートル『の地点に生育している個体も確認されている』。『葉は茎に』六から十二で『輪生する。葉は長さ』は一~三・五センチメートルで、幅は三ミリメートル『ほど。花は葉腋につき、雄蘂』一『本・雌蘂』一『本から構成される。花被片は退化して目立たない。果実は先がややとがった卵形で、大きさは』二~三ミリメートル』である。『スギナモには止血効果があるとされ、煮汁などが消化性潰瘍の治癒に利用できるとされている』『一方で、大量に繁殖して水路を詰まらせてしまう雑草として扱われることもある』とある。
「松藻」「金魚藻」の名で知られるマツモ目(或いはスイレン目)マツモ科マツモ属マツモ Ceratophyllum demersum 。当該ウィキによれば、『世界中の湖沼、河川などに分布。日本でも全国の湖沼、ため池、水路などで見られる』。『多年生植物で、根を持たずに水面下に浮遊していることが多い』。『茎を盛んに分枝し、切れ藻でも増殖する。葉は』五~十で『輪生し、長さは』八ミリメートルから二・五センチメートルほどである。『花期は』五~八月で、『雄花と雌花を同一の茎につけるが、個体群によっては全く花をつけない場合もある』。水中媒花である。秋頃から『筆状の殖芽を産生し、水中で越冬する』とある。]
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