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2021/06/03

大和本草卷之九 草之五 雜草類 牛面草 (ミゾソバ) + 大和本草諸品圖上 牛ノ額(ヒタヒ) (ミゾソバ)

 

大和本草卷之九 草之五 雜草類 牛面草 (ミゾソバ)

【和品】

牛面草 和俗ノ名ナリ又溝ソハト云近道水邊ニ生ス

或牛ノ額ト云蕎麥葉ニ似テ長シ又赤地利ニ似テ刺

ナシ葉ノ末尖中セハシ莖葉ハ共ニ柔ニ乄色靑シ葉ヲ生ニ

テスリテ能血ヲ止ム性亦赤地利ニ似タリ

○やぶちゃんの書き下し文

【和品】

牛面草 和俗の名なり。又、「溝そば」と云ふ。近〔き〕道水〔(だうすい)の〕邊〔り〕に生ず。或いは「牛の額(ひたひ)」と云ふ。「蕎麥」の葉に似て、長し。又、「赤地利〔(いしみがは)〕」に似て、刺〔(とげ)〕、なし。葉の末・尖・中、せばし。莖・葉は共に柔かにして、色、靑し。葉を生〔(なま)〕にて、すり、〔つくれば〕、能く血を止む。性も亦、「赤地利」に似たり。

 

*   *   *

 

大和本草諸品圖上 牛ノ額(ヒタヒ) (ミゾソバ)

 

Usiinohitai

 

牛ノ額(ヒタヒ)

 

 水邊ニ生ス無ㇾ刺(ハリ)

 ミゾソバ牛面草

 也葉ヲ金瘡ニ付血止

○やぶちゃんの書き下し文

牛の額(ひたひ)

水邊に生ず。刺(はり)、無し。「みぞそば」「牛面草〔(ぎうめんさう)〕」なり。葉を金瘡〔(きんさう)〕に付け、血〔を〕止〔む〕。

[やぶちゃん注:先に水族として抽出していないが、別に立項すると、かえって上手くないので、結合させて示した。前者はこちら23コマ目左頁で、後者は底本の32コマ目左下。画像は国立国会図書館デジタルコレクションの画像ここの同箇所をトリミングした。そちらでは旧蔵者によって『苦蕎麦【一名牛靣草】』(前者は「にがそば」であろう)と朱書きしてある。本種は、

双子葉植物綱ナデシコ目タデ科タデ属ミゾソバ Polygonum thunbergii

であり、後者の図版もよく一致する。当該ウィキによれば、「溝蕎麦」で、『東アジア(日本、朝鮮半島、中国)に分布』し、本邦では『北海道・本州・四国・九州の小川沿いや沼沢地、湖岸などに分布する。特に稲作地帯などでコンクリート護岸化されていない用水路脇など、水が豊かで栄養価が高めの場所に群生していることが多い』。『今でこそ護岸をコンクリートで固められてしまった場合が多いが、かつて日本各地で水田が見られた頃は、土盛りされていた溝や用水路、小川などの縁に普通に生えており、その見た目が蕎麦に似ていることが和名の由来になっている』。『水辺などで』三十センチメートルから一メートル『ほどに生長し、根元で枝分かれして勢力を拡げ』、『群生する。匍匐茎に閉鎖花をつけ』、『種子を稔らせる場合もあるとされる』。『また』、『茎には下向きに刺があり』(☜益軒が見落としてしまったのは、後の「赤地利」(イシミカワ)との相対比較による誤認と思われる)、『他の植物等に絡みついて伸びることがある』。『葉は互生し、形が牛の額にも見えることからウシノヒタイ(牛の額)と呼ばれることもある』。『花期は晩夏から秋にかけてで、茎の先端で枝分かれした先に、直径』四~七ミリメートル『ほどで、根元が白く先端が薄紅色の多数の花を咲かせる。なお、他のタデ科植物と同様に花弁に見えるものは萼である』とある。確かに、私の小さな頃はよく見かけた。紅白の花が好きだった。

「赤地利〔(いしみがは)〕」「大和本草卷之八」の「蔓類」に(底本ではここの13コマ目。訓読して示す)、

   *

赤地利(あまみがは) 「本草」にのせたり。蕎麥の葉に似て、莖、赤し。はり、はり。蔓、弱し。夏秋の閒、靑白花を開く。子を結ぶ。熟すれば、黑し。莖・葉、黑燒にして、一切の瘡〔(きず)〕に付けて治す。

   *

とあり、双子葉植物綱タデ目タデ科イヌタデ属イシミカワ Persicaria perfoliata のことと思われる。当該ウィキによれば、蔓性の一年草で、『和名には石見川・石実皮・石膠の字が当てられ、それぞれの謂われが伝えられるが、いずれが本来の語源かはっきりしない。漢名は杠板帰(コウバンキ)』。『東アジアに広く分布し、日本では北海道から沖縄まで全国で見られる』一『年草。林縁・河原・道端・休耕田などの日当たりがよくやや湿り気のある土地に生える』。『茎の長さは』一~二メートルに『達し、蔓状。葉は互生し』、『葉柄は長く』、『葉の裏側につく。葉の形は三角形で淡い緑色で、表面に白い粉を吹いたようになっている。さらに丸い托葉が完全に茎を囲んでおり、まるでお皿の真ん中を茎が突き抜けたようになっているのがユニークである。他の種にも類似した托葉があるが、この種では特に大きいためによく目立つ。茎と葉柄には多数の下向きの鋭いとげ(逆刺)が生える』(☜)。七~十月に『薄緑色の花が短穂状に咲く。花後につく』五ミリメートル『ほどの果実は』、『熟して鮮やかな藍色となり、丸い皿状の苞葉に盛られたような外観となる』。『この藍色に見えるのは実際には厚みを増し、多肉化した萼で、それに包まれて、中にはつやのある黒色の固い痩果がある。つまり、真の果実は痩果なのだが、付属する器官も含めた散布体全体としては、鳥などについばまれて種子散布が起こる漿果のような形態をとっていることになる』。『中国では全草を乾かして解熱・下痢止め・利尿などに効く生薬として利用する』。『蔓状の茎に生えた逆刺を引っ掛けながら、他の植物を乗り越えて葉を茂らせる雑草でもあり、特に東アジアから移入されて近年その分布が広がりつつある北アメリカでは、その生育旺盛な様子からMile-a-minute weed』(「一分で一マイル延びる草」)、『あるいは葉の形の連想からDevil's tail tearthumb』(「悪魔の尻尾のティアトゥーム(「滴形の親指草」の意か)」(tearthumb はミゾソバに近縁なタデ科タデ科 Polygonaceaeの草)『などと呼ばれ、危険な外来植物として警戒されている』とある。また、個人サイト「ビオ・荒川さいたま」の同種のページに『語源はハッキリしないが、果実の姿から石実皮説が有力のようだ』。『「地名説と石膠(にかわ)説がある。大阪にある石見川付近で採れるこの草の薬効が最も優れているからという説。また「和漢三才図会」は』、『骨を膠のように接ぐので』、『この名があるといっている」(野草大百科)の説もある』とあり、江戸時代にここに書かれたのと同じような薬効があると考えられていたことが判る。

 なお、この図の前に怪しい図が一つあった(直前の国立国会図書館デジタルコレクションのリンクを参照)。右頁下の「ハゼ菜」(「花白し。葉、芹に似、莖、紫なり。根、白し。味、甘。食ふべし」とあるもの)で、セリに似ているというのが引っ掛かったのだが、調べたところ、これは現在、陸生蔬菜として知られるナデシコ目ツルムラサキ科ツルムラサキ属ツルムラサキ Basella alba のことと思われるので採らなかった。]

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