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2021/06/08

大和本草諸品圖下 ヲコゼ・皮籠海豚(カハゴフグ)・クサイ・カイメ (オニカサゴ・ハコフグ或いはイトマキフグ・ミノカサゴ或いはハナミノカサゴ・サカタザメ)

 

4

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミングした。]

 

ヲコゼ ヲコシ

――――――――――――――――――

皮籠海豚(カハゴフグ)

其ノ形似

籠(ゴ)長崎

――――――――――――――――――

クサイ     其ノ形狀

漢名未ㇾ詳   如ㇾ此大

海魚也     不ㇾ過

巨魚   寸一其䰇(ヒレ)

        多如ㇾ此

        他魚

○やぶちゃんの書き下し文

クサイ

漢名、未だ詳らかならず。海魚なり。巨魚に非ず。其の形狀、此くのごとし。大いさ、數寸〔(すすん)〕に過ぎず。其の䰇(ひれ)、多きこと、此くのごとし。他魚に異れり。

――――――――――――――――――

カイメ モダマ。ツノジノ類

形甚コチニ

似タリ味ハ      カイメノ

コチニ不ㇾ似     腹

モダマニ似

タリ

能煮

スミソ

ニテ食フ

○やぶちゃんの書き下し文

かいめ 「もだま」。「つのじ」の類〔(るゐ)〕。形、甚だ「こち」に似たり。味は「こち」に似ず。「もだま」に似たり。薄く切り、能く煮て、「すみそ」にて食ふ。

           「カイメ」の腹

[やぶちゃん注:「ヲコゼ」は、「大和本草卷之十三 魚之下 をこぜ (オニオコゼ)」及び、「大和本草附錄巻之二 魚類 ヲコゼ (オニオコゼ)」の表記から、

条鰭綱新鰭亜綱棘鰭上目カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科(又はオニオコゼ科)オニオコゼ亜科オニオコゼ属オニオコゼ Inimicus japonicus

でよい。直上から描かれていて、顔が剽軽過ぎて、刺されたら、危険であるという事実が全く伝わらない。こんな博物画は失格である。『毛利梅園「梅園魚譜」 鬼頭魚(オニオコゼ)』リアルなそれを見習うべくんばあらず!

「皮籠海豚(カハゴフグ)」は、「大和本草附錄巻之二 魚類 かはごふぐ (イトマキフグ或いはハコフグ)」の表記から、

フグ目ハコフグ上科ハコフグ科ハコフグ属ハコフグ Ostracion immaculatus

或いは、

フグ目フグ亜目イトマキフグ(糸巻河豚)科イトマキフグ属イトマキフグ Kentrocapros aculeatus

でよい。同前で、『毛利梅園「梅園魚譜」 ハコフグ』の、絵(えー)を、見いな! あんた、益軒先生の弟子を名乗る(推定)資格なしやで!

「クサイ」は、魚体が派手だから、流石に、下手な絵からでも(「大和本草」本文には独立項には出来ない)、

カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科ミノカサゴ亜科ミノカサゴ属ミノカサゴ Pterois lunulata

と判る。当該ウィキによれば、『和名の蓑笠子は、ミノカサゴの鰭を蓑や菅笠になぞらえたもの。また、刺された際の痛みの強さから』、『さまざまな地方名を持ち、広島県では「ナヌカバシリ(七日走り)」(「痛みに耐えかねて」七『日間走り回る」の意)』、『三重県では「マテシバシ」(「うっかり触らないように』、暫く『待て」の意)』、山口県では「キヨモリ」(「平清盛のように、派手な衣装の下に武器を隠している」の意)』『などと呼ばれる』。『体長は』二十五~三十センチメートル程度で、ここにある通り、魚体自体は大きくはない。しかし、長く伸びた鰭で、海水中では、実長さより大きく見え、目立つ(これ自体が警戒形態となっている)。『背鰭を中心に毒を持つ』。『腹鰭の間に』も剣状の棘条(実際に「ツルギ」と呼ぶ)があるので、こちらも注意が必要である。棘傷による『死亡例もある。毒の種類は混合毒。刺されると、患部は赤く腫れ上がり、指曲げ不能、めまい、発熱、発汗、頭痛、吐気、手足麻痺、呼吸困難などを引き起こす』。『外敵だけでなく、ミノカサゴの仲間に対しても毒性を持つ』(この毒性を書いていない点でも博物図として致命的に失格である)。『貝類や、甲殻類、小魚などの小動物を捕食する』。『夜行性で、昼間は珊瑚や岩場の影に潜んでいる』。ミノカサゴ亜科 Pteroinae のミノカサゴ類は、この鰭が非常に美しいのだが、孰れもこの猛毒を持っており、英名総称では ‘Lionfish’(鰭をライオンの鬣に擬えたものであろう)と呼ばれ、本邦にも駿河湾以南の岩礁やサンゴ礁域に棲息する、

ハナミノカサゴ Pterois volitans

などは、“Devil firefish”という、いかにもありがたくない名を頂戴している。『太平洋の南西部とインド洋にかけて、日本では北海道の南部以南の沿岸部の岩礁に生息する』(大学時代、佐渡出身の先輩がひどく恐れていたのを思い出す)。『優雅に泳ぐさまとは対照的に攻撃的な魚で、ダイビング時の水中撮影などでしつこく追い回すと』、『激昂』して『人に向かってくることがあるので要注意』で、『煮付けなど食用として加熱する料理に使われることもあるが、狙って釣れるような魚ではなく、数が揃いにくいため』、『市場には出回らない』とある。

「クサイ」語源不詳。ふと思ったのは、双子葉植物綱マンサク亜綱イラクサ目イラクサ科イラクサ属イラクサ Urtica thunbergiana (漢字表記は「刺草」「蕁麻」。茎や葉の表面の毛のような棘があり、その基部にはアセチルコリンとヒスタミンを含んだ液体の入った嚢があり、トゲに触れ、その嚢が破れて皮膚につくと、強い痛みを感じ、皮膚炎を発症する)の転倒縮約で、「海の刺草(いらくさ)」が「くさ」「い」となったものではなかろうか?

「カイメ」は、独立項としてはなく、「大和本草卷之十三 魚之下 フカ (サメ類(一部に誤りを含む))」及び「大和本草附錄巻之二 魚類 フカノ類 (サメ類)」、また、「大和本草附錄巻之二 魚類 エイノ類 (エイ類)」の記載に似ているものとして「かいめ」の名が出るところの、

エイ上目サカタザメ目サカタザメ科サカタザメ属サカタザメ Rhinobatos schlegelii

である。それぞれで考証して注も附してあるので、それらを参照されたい。

「もだま」メジロザメ目ドチザメ科ホシザメ属ホシザメ Mustelus manazo の異名として知られるが、ここは広義の「鮫」の謂い。「大和本草卷之十三 魚之下 フカ (サメ類(一部に誤りを含む))」で考証済み。但し、以上の上目タクソンで判る通り、サカタザメは「サメ」ではなく、「エイ」である。

「つのじ」これはホシザメ或いはメジロザメ目ドチザメ科ホシザメ属シロザメ Mustelus griseus の異名としてもあるのであるが、それ以上に実は、「サメ」とは遠い昔に分かれてしまった、現行の生物学上は狭義の「サメ」ではない、軟骨魚綱全頭亜綱ギンザメ目ギンザメ上科ギンザメ科ギンザメ属ギギンザメ類(軟骨魚綱全頭亜綱ギンザメ目 Chimaeriformes 或は代表種ギンザメ目ギンザメ上科ギンザメ科ギンザメ属ギンザメ Chimaera phantasma)の異名として、現在も広汎に見られる呼称である(「大和本草附錄巻之二 魚類 フカノ類 (サメ類)」の私の注を参照)。しかし、サカタザメは、明らかにエイを左右に縮めた形態で、孰れとも似ているとは私は思わない。

『薄く切り、能く煮て、「すみそ」にて食ふ』サカタザメの食味は「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページがよい。よく似て、酢味噌和えとするのは、サメ・エイ類のアンモニア臭を避けるため。彼らは他の魚類とは異なり、体内に尿素を貯め込むことで体内の浸透圧と、海水との浸透圧をほぼ等しくしているからで、尿素は加水分解でアンモニアに変じるからである。]

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