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2021/06/14

大和本草諸品圖下 カウ貝・子安貝・ニシ・山椒貝 (テングニシ・ホシダカラの断面図・チリメンボラ・不詳)

 

Kai7

 

[やぶちゃん注:国立国会図書館デジタルコレクションの画像をトリミングした。]

 

カウ貝

 其肉可ㇾ食

 ニシト相似

 テ長シ

――――――――――――――――――

子安貝内靑白色有

甚鮮美形如光螺

 

子安

一者上與ㇾ此  不同

[やぶちゃん注:以下、図のキャプション。時計回りに翻刻する。]

與ㇾ腹不ㇾ通

橫三寸

長三寸五分

腹ノ内

介甲㴱紅有〔二〕微文〔一〕

梁白

○やぶちゃんの書き下し文

子安貝 腹の内、靑白色。光、有りて、甚だ鮮美。形、光螺のごとし。別に子安貝と稱する者、有り。此れと〔は〕同じからず。

[やぶちゃん注:以下、図のキャプション。時計回りに翻刻する。]

「腹と通ぜず。」

「橫三寸。」

「長〔(た)け〕三寸五分。」

「腹の内。」

「介甲、㴱紅〔の〕微文〔(びもん)〕、有り。」

「梁〔(はり)〕、白し。」

――――――――――――――――――

ニシ

 カウ貝ト相似タリカウ貝

 ヨリ短シ二者共ニ可ㇾ食

 ニシノカフニ

 鹽ヲミ

 テヽ燒テ

 存ㇾ性牙齒ニ

 ヌル久シテ堅固ナリ

○やぶちゃんの書き下し文

ニシ

「かう貝」と相ひ似たり。「かう貝」より短し。二者共に食ふべし。「にし」のかふに、鹽を、みてゝ、燒きて、性を存し、牙齒〔(ぐわし)〕に、ぬる。久しくして、堅固なり。

――――――――――――――――――

山椒貝

其形似山椒色紅其大亦

ニ乄山椒而頗小ナリ海濵ニ

アリ漁家小兒ノ痘瘡ヲ病ニ

コレヲ   俯圖

水ニ

浸シテ    仰圖

洗フ其後

袋ニ入テ守トス其大如ㇾ圖

○やぶちゃんの書き下し文

山椒貝

其の形、山椒に似〔て〕、色、紅。其の大〔いさも〕亦、山椒のごとくにして、頗る小なり。海濵にあり。漁家、小兒の痘瘡を病むに、これを水に浸して洗ふ。其の後、袋に入れて、守〔(まもり)〕とす。其の大〔いさ〕、圖のごとし。

[やぶちゃん注:以下、キャプション。]

   俯圖

    仰圖

[やぶちゃん注:「カウ貝」腹足綱前鰓亜綱新腹足目テングニシ科テングニシ Hemifusus tuba 大和本草卷之十四 水蟲 介類 甲貝(テングニシ)参照。

「子安貝」平凡社刊の下中弘氏編集・発行の「彩色 江戸博物学集成」(一九九四年刊)の「貝原益軒」では、貝類の大家波部忠重先生は、『「子安貝」とあるが、一般に言われているコヤスガイとはまったく異なる。このような貝は見当たらない』と断じておられるが、私は甚だこの謂いに疑義を感ずるものである(先生の監修された複数の貝類図鑑を私は所持し、今までさんざんお世話になっているので、心苦しいが)。無論、この図のまんまのような貝は確かにない。しかし、これが「子安貝」の断面図であると採るならば(私は最初からそう断じた。但し、私は勿体ないので、実際にタカラガイ類を切断して見たことはない)、これは確かにタカラガイ科 Cypraeidaeの貝の断面図を、正確ではないものの、多方向から見たそれを一図に圧縮したものとして、見ることが出来るのである。例えば、halyfavo氏のブログ「土佐の海から―海の貝―」の「ヤクシマダカラ断面」の「ヤクシマダカラ断面(3)」の写真を見られたい。ここでは螺層の画面上の下部を残しているが、その部分を手で隠し、さらに画面右の内部の螺層断面を螺層であったとイメージして描くならば、この図と私はすこぶる一致してくると思う。また、東京大学総合研究博物館」の「小石川分館特別展示」「貝の建築学」の佐々木武友氏の解説の「図5 タカラガイ科の殻 」にあるハナマルユキダカラ(タカラガイ科コモンダカラ属ハナマルユキ Erosaria caputserpentis ) の「I」の断面写真も非常に参考になる。さらに、キャプションで「腹の内、靑白色」とし、「光、有りて、甚だ鮮美。形、光螺のごとし」とするのを、後者はタカラガイの殻表面を述べているものとすれば、これも非常に腑に落ちる。「腹と通ぜず」とは、大きく湾曲した貝殻の上面と内部中央の螺層を成す殻軸との間に、大きな空洞があって左右でしか繋がっていないことを言っているととれば、難なく納得出来る。「梁〔(はり)〕、白し」とするが、カメオ細工で知られるように、貝表面は薄く削ぐに従って多色を呈するものがタカラガイには多いが、その全体を断面として横から見た場合に多色層が虹のように見えるかと言えば、私は圧倒的に貝殻の内側の圧倒的な下方基底部は白く見えると推理する。而して、「橫三寸」「長〔(た)け〕三寸五分」という有意な大きさ、さらに「介甲、㴱紅〔の〕微文〔(びもん)〕、有り」と読むに至って、この元となったタカラガイは、タカラガイ類で最も馴染み深い、

腹足綱吸腔目タカラガイ科 Cypraeinae 亜科 Cypraeini 族タカラガイ属ホシダカラ Cypraea tigris

と同定比定することに何らの躊躇を感じない。なお、同種の殻の表面は一般に「黒斑模様」と称されるが(和名は「星宝」で、殻表の黒斑を星に見立てたもの)、実際には個体によって表層が全体に暗褐色の強いものや、筋状の紅色などの紋がある個体も甚だ多いのである。学名のグーグル画像検索をみられるがよい。なお、「別に子安貝と稱する者、有り。此れと〔は〕同じからず」とあるが、これは先のこちらで、「子安貝」として出してしまった(私の推定で腹足綱ヤツシロガイ上科ヤツシロガイ科ヤツシロガイ属ヤツシロガイ Tonna luteostoma ・同属のウズラガイ Tonna perdix )経緯を受けたものである。但し、安産のお守りとして、出産時に握っていても割れない可能性が高いのはタカラガイ類を嚆矢とすることは言うまでもないのだが、この「竹取物語」以来の、馴染みのある魅力的な名は、容易に他の巻貝に転嫁して、握らないお守りとなったと私は考えている。なお、益軒は「大和本草卷之十四 水蟲 介類 貝子」でタカラガイ類を出しているものの、多くの文化で古代の貨幣の代わりとされた例は引くものの、「子安貝」としては、それを遂に比定していない。

「ニシ」図の貝が、ずんぐりとしており、殻頂が尖塔化していない点で、腹足綱前鰓亜綱新生腹足上目新腹足目アッキガイ上科アッキガイ科チリメンボラ亜科チリメンボラ属チリメンボラ Papana bezoar に同定する。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページの画像を見られたい。本種は古来、「貝紫」としての染料が採取出来るものの一つに数えられてきた、決してマイナーな貝ではない。さればこそ、確認は出来なかったが、民間薬として歯痛や歯槽膿漏(キャプションのニュアンスは後者)の妙薬として用いられたというのは腑に落ちる。なお、この薬の製法の、『「にし」のかふに、鹽を、みてゝ、燒きて、性を存し』というのは、読み解くのに注意が必要である。これは、この「螺(にし)」(チリメンボラ)の「甲(かふ)」=「厴」(へた:巻貝の殻口を閉じる板状の蓋)に「鹽を、みてゝ」(この謂いがよく判らない。「塩を満たして」か。或いは「鹽ヲモミテ」(塩を以って揉んで」の誤記かとも思った。ともかくも「しっかりと塩をまぶして」の意でとっておく)、素早く焼いて、本来のこの貝の持っている有益な性質を損なうことなく、即座に歯に塗り付けること、と言っているものと思う。

「山椒貝」不詳。当初、名前と色から、腹足綱前鰓亜綱古腹足目ニシキウズ超科リュウテンサザエ科サンショウガイ亜科サンショウガイサンショウガイ Homalopoma nocturnum

或いは同属の、

チグササンショウガイ Homalopoma incarnatum

でよかろうと思ったが、先の「彩色 江戸博物学集成」の「貝原益軒」では、かの波部先生が、『不明。現在サンショウガイと称している小型の貝とも異なる』と断じておられるので、ここは流石に御大のそれに従うこととした。但し、波部先生は、やや、図を信用し過ぎておられる可能性があるとは思う。]

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