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2021/06/04

大和本草諸品圖下 をき目張/すぢ魚 (メバル類・キンメダイ/キンセンイシモチ・スジオテンジクダイか)

 

1_20210604103101

 

ヲキ目張

者其

與形狀相

同而

ㇾ岐

不ㇾ同

 

名稱

同ㇾ上

ナル

色異凡爲三種

○やぶちゃんの書き下し文

をき目張

二つの者、其の名・形狀と相ひ同〔じくして〕、其の尾、尖〔(せん)〕と、岐と、同じからず。

名稱、上に同じ。上なる者、形、似ると雖も、其の色、異り、凡そ、三種を爲す。

――――――――――――――――――

スヂ魚 又シマ魚ト名ク

海中

數寸不ㇾ過

味不ㇾ好レ𪜈

ㇾ食

○やぶちゃんの書き下し文

すぢ魚 又、「しま魚」と名づく。海中に在り、長さ、數寸に過ぎず。味、好からざれども、食ふべし。

[やぶちゃん注:今回は遂に本当に最後の最後に辿りついた。底本は同じく中村学園大学図書館蔵本大和本草諸品圖下(PDF)の魚介類その他に相当する、12コマ目からである。図は国立国会図書館デジタルコレクションのこちら以降からトリミングした。

 まず、前者「ヲキ目張」は、

条鰭綱新鰭亜綱棘鰭上目カサゴ目カサゴ亜目フサカサゴ科又はメバル科メバル属の、

メバル(アカメバル)Sebastes inermis (俗称「赤」「金(きん)」。全体に黒味が強く、やや赤味がかる。沿岸・内湾性)

シロメバル Sebastes cheni (俗称「青」「青地(あおじ)」。シロとは言っても体色は黒か灰色で、時に薄い横縞が出る。内湾の岩礁域を好む)

クロメバルSebastes ventricosus (俗称「黒」。前二種と比べると印象的には外洋に面した岩礁部に多い)

ウスメバル Sebastes thompsoni (俗称「沖メバル」。一般には通常の「めばる」は前の三種を指し、感覚的に沖合の深い場所で獲れるものを漠然と「オキメバル」とも呼んでいた。しかし本種は体側に明らかな不規則な褐色斑を有するので識別は容易である)

の孰れかである。図が貧相なので、各個比定は不能だが、個人的には中央右のそれが有意に体表面を描いている点からは、ウスメバルっぽい。但し、底本の「目次」では、『○ヲキ目張(きんめだい)』とされてあるが、図の上方の一体は尾鰭が分岐して描かれ、解説でも尾の分岐を言っているので、

キンメダイ目キンメダイ科キンメダイ属キンメダイ Beryx splendens

の可能性は頗る高い。上記四種のメバル類は孰れも尾が分岐しないからである。しかし、だったら、まともな人間なら、もっと眼を大きく描くだろうとは思う。既にしてこれ以下の博物画の程度の低さが始まっていることが判ると言えるのでもあろう。詳しくは「大和本草卷之十三 魚之下 目バル (メバル・シロメバル・クロメバル・ウスメバル)」を見られたいが、他に益軒は、

「大和本草卷之十三 魚之下 奥目張(をきめばる) (アカメバル)」

「大和本草卷之十三 魚之下 がうざ (不詳・ウスメバル?)」

「大和本草附錄巻之二 魚類 ヲキメバル (ウスメバル? 同定不能)」

を立項しているので、そちらも参照されたい。

 後者の「スヂ魚」は困った。「スジウオ」「シマウオ」の別名を持ち、この縦筋・縦縞(勘違いしているネット民が甚だ多いが、魚の場合、体幹方向に頭部から尾部に向かって並行して走る縞を縦縞、背から腹方向に垂直に走る縞を横縞と呼ぶ)の魚を見出せないからである。底本の「目次」でも比定されていない。そこで、サイト「海水魚ラボ」の「体に縦縞のあるテンジクダイの仲間の見分け方(同定)」を閲覧した。その結果、縦縞が四本に見えそうな(実際には五本以上でも)もので、尾鰭に特異的な斑紋を持たない(図のものは中央を走る紋の端が尾部でやや丸い紋のように見えなくもないが、作図者の力量を評価しない私はそれを斑紋とは受け取らない)種を見つけた。

スズキ目テンジクダイ科スジイシモチ属キンセンイシモチ Ostorhinchus properuptus

である。WEB魚図鑑」の同種のページによれば、『体には橙色と白色あるいは淡青色の縦帯がある。本種は鰓蓋から腹部にかけての白色あるいは淡青色の縦帯が破線ではなく実線状であることや、体側中央の橙色縦帯が尾柄部でとまることなどの特徴があり、スジオテンジクダイ』(スズキ目テンジクダイ科スジイシモチ属スジオテンジクダイ Ostorhinchus holotaenia )『と見分けられる。体長』六センチメートル『ほどの小型種で』、『分布』は『神奈川県、和歌山県、愛媛県、高知県、琉球列島』及びインドから西太平洋、オーストラリア、フィジー諸島』とし、『本種は南日本から琉球列島で見られるタイプで、岩礁域やサンゴ礁域に群れで生息する普通種』であり、『肉食性で小型の甲殻類や稚魚などを捕食する』。『小形の種類であるために食用にされることはほとんどないが、色彩が美しく』、『観賞魚として扱われる』とある。或いは、そのスジオテンジクダイでもよかろう。]

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