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2021/07/05

梅崎春生 日記(恣意的正字歴史的仮名遣変更版)4 昭和一〇(一九三五)年(全)

 

   昭和一〇(一九三五)年

 

十二月十六日

 高木淸子は結婚し、德永靜香は、思ふだけでも蟲酸(むしず)が走るし、まつのやのマリ子は一介の賣春婦であるし、立川は乳臭い、生意氣な不良少女だし、「オリンピツク」のマダムはもう人のもの、雨森幸子さんは數十里はなれたところで今日もハンガリア・ラプソデイを彈じて居ようし、その他、數多のおんなの子たちは緣なき衆生(しゆじやう)とかたづけて、俺は此處に一個の現實的浪漫主義者だ。純情の港へ、再び出帆する日も近いだらう。今の中さ。あらゆる女をけがし、辱しめ、かくし所を白日の下にさらけだし、羞恥に身悶へする彼女たちを自然科學者の如く冷やかな目でみてやるのさ。

[やぶちゃん注:「ハンガリア・ラプソデイ」Hungarian Rhapsodies。フランツ・リストがピアノ独奏のために書いた作品集「ハンガリー狂詩曲」。全十九曲。特に第二番が知られ、ここで春生が想起しているのもそれであろう。]

 

十二月十七日

 明日より試驗。到頭二學期も駄目らしい。

 八十五番程度かなと思う。

[やぶちゃん注:この年で満二十歳。『龍南會雜誌』に詩篇「春」「空虛なる展望」の二篇を発表している。]

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