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2021/08/14

曲亭馬琴「兎園小説」(正編) 駿河町越後屋替紋合印の事 文寶堂

 

   ○駿河町越後屋替紋合印の事  文 寶 亭

 

Eigoyamon

 

挑灯などに此しるしあり。これは、「江戶四里四方、丸で十分に商いをする」といふしるしなり。[やぶちゃん注:画像の右端のもの。]

 

芝口松坂屋も、三井の持にて同店なり。暖簾につくる松のしるし、葉形かくのごとくなるは、「三井」といふ文字なりといへり。[やぶちゃん注:画像の右端のもの。松葉の交差する左右に「井」の字が見えるが、四つある。]

 

此しるしは、表方立番などの者の半臀などへ付くるしるしなり。「〇〇」二つは、二わ、「○」は「まはり」、「∧」は「人」といふ字にて、「『庭まはりの人』といふ『合じるし』なり」と、三井本店につとめ居たる兵七といふものゝ話なり。されども此[やぶちゃん注:ここに一番左の紋が組み込まれてある。]印は、長崎西築町乙名荒木宗太郞といひしもの、元和八壬戌年、御朱印頂戴し、異國渡海の船を金札船と稱したるよし、その船のしるしに、此印あり。されば、三井にては、後に考へて付けたるものなるべし。

 

[やぶちゃん注:画像は底本のものをトリミング補正した。

「元和八壬戌年」一六二二年。]

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