日本山海名産図会 第一巻 造醸 目録・「酒樂歌」の図
[やぶちゃん注:これより、残っている冒頭の第一巻に戻って、電子化注を行う。本書全体の標題・見開き・序は最後に電子化する。]
日本山海名産圖會巻之壹
〇目 録
攝刕伊丹酒造(せつしういたみさけつくり)
藍江■
[やぶちゃん注:画像は底本の国立国会図書館デジタルコレクションからトリミングした。非常に雅趣のある竹の絵。「藍江」は本書の挿絵全部を担当している蔀関月の弟子の絵師中井藍江(らんこう明和三(一七六六)年〜天宝元(一八三〇)年)と思われる。大阪出身の画家で、関月に日本画を学んだ。他に詩文を中井竹山に学び、茶の湯も嗜んだ。署名の下に落款があるが、判読不能。但し、藍江の名は「直」又は「眞」であり、その孰れかと推察する。「直」の方がそれらしい。]
[やぶちゃん注:底本からトリミングした。以下、キャプション。]
酒 樂 歌(さかほかひのうた)
此の御酒(みき)を釀(かも)す人人は、其の鼓臼(つゞみうす)に立てて、うたひつゝ、釀すれるも、舞ひつゝ、釀すれかは、この御酒のみ、
あやに、轉(うた〔[やぶちゃん注:下の「楽」に引かれて「うたた」を脱字してしまったものか。])、楽(たの)し。サヽ
[やぶちゃん注:以下は画像の通り、底本では全体が前の文よりも一字下げ。]
是れは應神天皇、角鹿(つのか)より還幸(かんかう)の時、神功皇后(しんくうかワウこう[やぶちゃん注:ママ。])、酒を釀し侍りて、いはひ奉り、哥(うた)うたはせ給ふあり。武内宿祢(たけうちすくね)、天皇に代はり奉り、荅(こた)へ申歌なり。是れを「酒楽(さけほかひ)の歌」といふて、後世、大嘗會の米(こめ)、舂くにもうたふと也。
右、「古事記」。
[やぶちゃん注:「古事記」のそれは、原文ではとても私には読み切れないので、加藤良平氏の「上代におけるヤマトコトバの研究論文集」という副題を持つブログ「古事記・日本書紀・万葉集を読む」の『「酒楽の歌」とは』を読まれたい。驚くべき詳細な解説が載り、およそ、私の如き「古事記」に冥い人間には注を附す資格がないほど凄い。なお、以上の部分は加工データとしている「ARC書籍閲覧システム」の翻刻(新字)にはないので、総て底本を視認して作成した。]
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