「萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第二(淨罪詩篇)」 行路
行 路
わがゆくときにいぢらしく
ひとりはみなみをさしたまふ
わがゆくときにほこらしく
ひとりはみなみをさしたまふ
みんなみにあをきうみありて
われのこひびと
われのやそ
つねにみなみをさしたまふ。
[やぶちゃん注:太字「やそ」は底本では傍点「ヽ」。底本では『遺稿』とし、推定で大正四(一九一五)年とする。筑摩版全集では「未發表詩篇」に載る。以下に示す。
行路
わがゆくときにいぢらしく
ひとりはみなみをさしたまふ
わがゆくときにほこらしく
ひとりはみなみをさしたまふ
みんなみにあほきうみありて
われのこひびと
われのやそ
つねにみなみをさしたまふ。
で、「あほき」はママである。推定年も齟齬はしないであろう位置にはあるが、大正三年の可能性もある。]
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