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2021/10/20

「萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第三(『月に吠える』時代)」 合唱

 

  合   唱

 

にくしん

にくしん

たれか肉身をおとろへしむ

すでにうぐひす落ちてやぶれ

石やぶれ

地はするどき白金なるに

にくしん

にくしん

にくしん

にくしんは蒼天にいぢらしき涙をながす

ああ なんぢの肉身。

                  ―吾妻にて―

 

[やぶちゃん注:底本では、大正三(一九一四)年八月の作とし、翌大正四年一月の『水甕』初出とする。筑摩版全集でも、当該雑誌の同年一月号とする。初出を示す。歴史的仮名遣の誤り・誤字(誤植)はママ。

 

  合唄

 

にくしん、

にくしん、

たれか肉身をおとろへしむ、

既にうぐゐす落ちてやぶれ、

石やぶれ、

地はするどき白金なるに、

にくしん、

にくしん、

にくしんは蒼天にいぢらしき淚をながす、

ああ、なんぢの肉身。

             ――八月作――

 

当初、底本の「にくしん」の後半の単独の三連呼は、編集者の誤りの可能性が高いようにも思われたが、後書の「吾妻にて」は初出とは異なる別原稿である可能性をも示すものである。実際、筑摩版年譜を見ると、この大正三年八月に例の群馬県吾妻郡中之条町四万の四万温泉積善館に避暑しているからである(十三日に前橋に帰った)。

 なお、筑摩版全集の『草稿詩篇「拾遺詩篇」』の最後には活字化せずに、注で、『合唱(本篇原稿四種八枚)』とし、『本篇原稿は「――女と共にうたへる――」の傍題が附されている。また末尾に【――一九一四・ハ 吾妻山中ニテ――】の注記がある。』とする。この「女」は謎で全く不詳。恐らくは朔太郎お得意の意味深長にやらかしたイカサマだろう。]

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