「萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第一(「愛憐詩篇」時代)」 (無題)(いづかたに行き給ふらむ) / 「斷章」の第一章の失われた推敲稿か?
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いづかたに行き給ふらむ
深山路に雪をふみわけ
雪をふくみて夕暮の
旅のつかれをいやすらむ
君やいづこに
いくばくの陽光さし
君はかくもものしづかなる
いかなればかくもしづかに
しとやかに君はありしぞ
やみがたき旅にしあれど。
[やぶちゃん注:底本では制作年は未詳(記載なし)で、出典を『ノオト』とする。筑摩版全集では「習作集第九巻(愛憐詩篇ノート)」に、既に「(無題)(ふところに入れたる手よ) / 筑摩書房版全集不載の一篇」の注で引用した「斷章」の一章目が酷似する。
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いづかたに行き給ふらむ
深山路に雪をふみわけ
雪をふくみて夕暮の旅のつかれをいこひやすらむ
いかなればかくもしづかに
しとやかに、したしげに君はありしぞ。
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この断章と比較すると、整序されて、一篇としては本篇の方の完成度が高い気がする。失われた推敲稿か。]
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