「萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第一(「愛憐詩篇」時代)」 (無題)(かぎりなく白き器物を懷かしむ)
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かぎりなく白き器物を懷かしむ
されど器物はものいはず
うつはを抱けばしんしんと
白きつめたさ身にしみぬ
とまれ かくまれ
ものいわぬうつは よしなよし
うつはめづる そのこころ
やがて
おみなのくみめづるなり
[やぶちゃん注:「おみな」はママ。底本では出典を「ノオト」とする。筑摩版全集では、「原稿散逸詩篇」にあるが、それは本底本に先行する小学館版「萩原朔太郎全集遺稿上」から転載されたもので、既に原稿は失われているようである。筑摩版では、六行目の「よしなよし」は「よしなし」の誤記とする。]
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